フランス南部トゥールーズの民家の屋根裏から見つかり、鑑定の結果、イタリアの巨匠カラバッジョ(1571~1610年)の作品であることが明らかになった絵画がオークションにかけられることが28日発表された。予想落札額は最高で1億5000万ユーロ(約190億円)に達するとみられている。
縦約152センチ、横約183センチのこの絵画は、旧約聖書の「ユディト記」に題材を取った「ホロフェルネスの首を切るユディト」。未亡人のユディトが、自らの住む町を包囲したアッシリアの将軍ホロフェルネスの陣営に嘆願のふりをしておもむき、その首を切って殺害する場面を描いている。
/Cabinet Turquin
2014年、トゥールーズのある民家の持ち主が、雨漏りを直そうとたまたま屋根裏に入ったところ、この作品を発見したという。オークションは6月27日、トゥールーズで開かれる予定。
鑑定を行ったカラバッジョの専門家エリック・チュルカン氏は、「これまで見た中で最高の絵画」と同作品を称賛。「非常に暴力的で、ほとんど耐え難いほどの描写だが、作者は聖書の記述をそのまま具現化した。聖書の記述に命を吹き込んだのだ」と説明した。
/Cabinet Turquin
美術史家の中には、カラバッジョと同じ時代に活躍し、その贋作(がんさく)を描いたルイ・ファンソンの作品ではないかと考える人もいる。しかしチュルカン氏は、贋作には通常ない修正の跡が見られることなどを理由に、同作品を本物だと主張。また年代のわりに保存状態が極めて良好な点にも言及した。
作品はカラバッジョの晩年の1600~1610年ごろに描かれたものとみられるという。