神出鬼没のアーティスト、バンクシーが英国の欧州連合(EU)離脱を象徴的にビルの壁面に描いた風刺画が、突如として消滅した。
この作品は英イングランドのドーバーにあるビルの壁面に2017年に登場したもので、EU旗に描かれた星の1つを削り取る作業員の姿が描かれていた。
ドーバーのデービッド・ジョセフ・ライトさんによると、壁画の前に24日、4階建ての足場が設置され、翌朝までに作品が消えていたという。
壁画の前に設置された足場/David Joseph Wright
ドーバーは英国とフランスを結ぶフェリーの発着地。バンクシー作品は同地の観光名所となり、観光客が立ち寄って一緒に写真を撮るなどしていた。
住民のリサ・グリーンジョーンズさんはフェイスブックへの投稿で、「どうして? 理解できない。あの名作をかき消してしまうなんて」と嘆いた。
壁画は25日までに消えていた/David Joseph Wright
この作品については、壁画が描かれたビルの所有者が2017年に発表した声明で、「維持、削除、あるいは売却の選択肢を検討している」と表明し、「売却の収益については地元の慈善団体への寄付を模索する」としていた。
壁画が取り去られたのか、上塗りされたのかは分かっていない。しかし地元住民からは、EU離脱をテーマにした壁画が突如として消滅したことに対する憤りや不満の声が相次いでいる。