欧州連合(EU)離脱をめぐって英国議会の混乱が続く中、議事堂に居並ぶチンパンジーを描いたバンクシーの風刺画が、10月3日にロンドンで開かれるサザビーズのオークションに出品される。
出品されるのは、2009年に制作された「Devolved Parliament」という題名の作品。落札価格は最高で200万ポンド(約2億7000万円)と予想されている。
作品の中の議事堂はチンパンジーで議席が埋め尽くされている。全長は約4メートル。バンクシーがカンバスに描いた作品としては、これまでに確認されているものの中で最も大きい。オークション前の数日間は、本物の議事堂の近くにあるサザビーズの会場で展示される。
この作品は、ブリストル市立美術館が2009年に開いたバンクシー展で初披露された。同美術館は今年に入り、当初のEU離脱予定日だった3月29日に合わせて再び同作品を展示して脚光を浴びていた。
当時、バンクシーはインスタグラムへの投稿で、「これは私が10年前に制作した。ブリストル美術館がブレグジットの日を記念して再び展示した」と説明。「今は笑え。だがいつか、誰も責任を取らなくなる」と書き添えていた。
この一文は、バンクシーが初めてチンパンジーを登場させた2002年の作品にちなむ。こちらの作品では、浮かない顔で並ぶチンパンジーのエプロンに、「今は笑え。だがいつか我々が支配する」という文字をあしらっていた。
バンクシーの2002年の作品/Daniel Berehulak/Getty Images
Devolved Parliamentは、EU離脱の風刺を意図した作品ではなかった。しかしバンクシーは2016年の国民投票以来、このテーマに注目した作品を制作している。