13世紀のイタリアの画家、チマブーエの失われた傑作「嘲笑されるキリスト」が仏パリ近郊の住宅の台所で見つかった。来月オークションにかけられる予定で、専門家は最高落札額を600万ユーロ(約7億円)と予想している。
鑑定に携わった美術専門家のジェローム・モンクーキル氏によると、縦25.8センチ、横20.3センチの同作品はパリ北郊コンピエーニュに住む女性が台所に飾っていたもの。女性は作品の来歴を知らず、ギリシャの宗教画だと思い込んでいたという。
モンクーキル氏はCNNの取材に対し、チマブーエに関する豊富な知見から同画家の作品だと突き止めるのに時間はかからなかったと説明した。
1240年ごろにイタリアのフィレンツェで生まれたチマブーエは、画家で建築家のジョットを見出した人物としても知られる。ジョットはルネサンス以前の時代における最も偉大な芸術家と広く認識されている。
/Acteon
モンクーキル氏は「嘲笑されるキリスト」について、祭壇背後などに飾る2枚折りの画像の一部で1280年に描かれたと語る。この年、チマブーエはキリストの受難と磔刑(たっけい)を中心とする8つの場面を題材にした絵画を制作したという。
AFP通信によれば、オークションは来月27日にパリ北郊のサンリスで開催される。オークションを手掛けるアクテオンはプレスリリースで、表面にほこりがたまっていたにもかかわらず同作品が「素晴らしい状態」を保っているとしている。
モンクーキル氏によると、チマブーエの絵画が競売にかけられるのは今回が初めて。