13世紀のイタリアの画家、チマブーエの失われた傑作「嘲笑されるキリスト」がこのほどオークションにかけられ、約2420万ユーロ(約29億円)で落札された。この作品は数カ月前に、仏パリ近郊の住宅の台所で見つかっていた。
オークションは27日に、パリ北郊のサンリスで開催された。落札額は予想の4倍以上に達した。
鑑定に携わった美術専門家のジェローム・モンクーキル氏によると、縦25.8センチ、横20.3センチの同作品はパリ北郊コンピエーニュに住む女性が台所に飾っていたもの。女性は作品の来歴を知らず、ギリシャの宗教画だと思い込んでいたという。
/Acteon
1240年ごろにイタリアのフィレンツェで生まれたチマブーエは、画家で建築家のジョットを見出した人物としても知られる。ジョットはルネサンス以前の時代における最も偉大な芸術家の1人と広く認識されている。
モンクーキル氏はチマブーエ作の絵画について「世界に11点しか存在しておらず、珍しいもの」と説明。「嘲笑されるキリスト」は、祭壇背後などに飾る2枚折りの画像の一部で1280年に描かれたと語った。この年、チマブーエはキリストの受難と磔刑(たっけい)を中心とする8つの場面を題材にした絵画を制作したという。
英ロンドンのナショナルギャラリーは、このうちの1つとされる「聖母子と2天使」を2000年から所蔵。また米ニューヨークのフリック・コレクションでは、別の場面を描いた「むち打たれるキリスト」が展示されている。
モンクーキル氏によると、チマブーエの絵画が競売にかけられるのは今回が初めてだった。