正体不明のアーティスト、バンクシーが印象派の巨匠モネの作品をパロディーにした絵画が、760万ポンド(約10億4000万円)で落札された。競売大手サザビーズが明らかにした。
落札されたのは「ショー・ミー・ザ・モネ」と題された絵画で、睡蓮(スイレン)の池や橋を描いたモネ作品を現代の一場面として再構成したもの。環境汚染のテーマを扱い、牧歌的な池に三角コーンやショッピングカートが沈んだ様子を描いている。
モネの元の作品は、フランス北部ジベルニーに構えた「水の庭」に日本風の橋が架かる光景を描いた12の連作のひとつ。モネは1897年から1899年にかけて、さまざまな天候や季節、時間帯の下で、この光景を題材に連作を描いた。
「ショー・ミー・ザ・モネ」は予想をはるかに上回る価格で落札されたという/Michael Bowles/Getty Images
一方、バンクシーの油絵は2005年に制作されたもので、環境汚染などをテーマにした展覧会で展示された。展覧会では他にも、エドワード・ホッパーやジャック・ベトリアーノ、ビンセント・バン・ゴッホなどの有名作のパロディーが展示されていた。
今回の落札額は、バンクシー作品としては過去2番目の高値となる。昨年には、英下院に居並ぶチンパンジーを描いた風刺的な油絵「退化した議会」が、過去最高額となる987万9500ポンドで落札された。
バンクシーの正体は依然不明だが、昨年10月には元代理人で写真家の男性が、制作中のバンクシーとされる写真を公開した。もっとも顔は見せていない。