オランダの美術館から絵画2枚を盗み出した疑いで、男1人が逮捕された。警察によると盗まれたのは同国の画家フィンセント・ファン・ゴッホとフランス・ハルスの作品だという。
このうちゴッホが描いた「春のヌエネンの牧師館の庭」は、アムステルダム近郊の町ラーレンの美術館から昨年3月に持ち去られた。夜間の犯行だったという。当時、美術館は新型コロナウイルスの感染対策のため閉鎖中だった。
1884年に描かれた同作は、フローニンゲンにある同市美術館が貸し出していたもの。
昨年8月には、「オランダ黄金時代」とも呼ばれる17世紀に活躍した巨匠ハルスの作品「笑う2人の少年」がレールダムにある美術館から盗まれた。警察が明らかにした。
ハルス作「笑う2人の少年」は過去にも2度盗み出されている/Public Domain/Creative Commons
ビールのジョッキを持って笑う2人の少年を描いた同作について、ある専門家は1500万ユーロ(約19億5000万円)の価値があるとしている。ロイター通信が伝えた。同作はこれまでも2度盗難に遭っており、そのうち1度は2011年、同じ美術館から盗まれ、その後警察により回収された。
警察は6日、上記の絵画を盗んだ疑いでユトレヒト州バールン出身の58歳の男を自宅で逮捕したと発表した。
警察によると作品自体はどちらもまだ見つかっておらず、引き続き捜査が行われているという。
「春のヌエネンの牧師館の庭」は、ゴッホが当地で両親と暮らした1883~85年に制作された。
描かれているのは家族が実際に住んでいた牧師館の庭。ゴッホの父親はそこの牧師を務めていた。画面には使われなくなった古い教会も見える。こうした古い教会のモチーフは同時期のゴッホ作品に数多く登場する。