英国の夏はあまり好天が続かない。それでも構わずバンクシーは海辺の町に立ち寄って、自分の足跡を残して行った。
この謎めいたストリートアーティストはインスタグラムに投稿した動画の中で、英国の海岸沿いの町に最近出現した複数のアート作品が、自分の仕業だったことを認めた。
バンクシーの作品を撮影する女性=8月8日、英イングランド・ローストフト/Justin Tallis/AFP/Getty Images
「グレート・ブリティッシュ・スプレーケーション」というタイトルが付いたこの動画は、バンクシー(例によって身元は隠したまま)がペンキの缶を入れたクーラーボックスを1つ携えて、クリーム色の古びたキャンピングカーで複数の町をめぐる様子を映している。幾つかの壁画を制作する姿や、銅像にいたずらする姿も垣間見える。
壁画の1つに描かれているのは、3個の空の貝殻を守る1匹のヤドカリの姿。殻のない3匹のうらめし気なヤドカリの前に立ち、「高級賃貸のみ」の看板を掲げている。海岸沿いに描かれた別の壁画には、マティーニのグラスを手にデッキチェアでくつろぐネズミが見える。
通行人の声も聞こえる。
目の前の砂の城にバールを振るう子どもの壁画を見た女性は、「心無い破壊行為みたい」とつぶやいた。
公園の壁に描かれたバンクシーの新作=8月7日、英イングランド・ローストフト/PA/AP
バンクシーの作品は今年に入り、英国の医療従事者を描いた「ゲームチェンジャー」がロンドンで開かれたクリスティーズのオークションに出品され、同アーティストの作品としては史上最高額の2310万ドル(約25億円)で落札されていた。