1985年に米誌「ナショナルジオグラフィック」の表紙を飾った写真「アフガンの少女」の被写体として有名になった女性がこのほど、イタリアのドラギ首相から難民認定を受けた。イタリア政府広報室が発表した。
アフガニスタンとパキスタンの国境にある難民キャンプで暮らしていたパシュトゥン人の孤児だったシャルバト・グラさんの写真は84年に撮影され、翌年発表された。グラさんの身元は何年もの間分からないままだったが、数十年を経て、パキスタンで暮らしているグラさんが見つかった。
イタリア首相府によると、現在は40歳代後半というグラさんは、首都ローマに到着した。
首相府の声明は、「84年にペシャワルの難民キャンプで非常に若かった彼女を撮影し、ナショナルジオグラフィック誌の表紙を飾ったスティーブ・マッカリー氏の写真のおかげで、シャルバト・グラさんは85年、アフガニスタンとその人々が経てきた苦難と葛藤の局面の積み重ねを象徴している点で世界的な知名度を得た」と指摘。
シャルバト・グラさん。2016年11月に撮影/Haroon Sabawoon/Anadolu Agency/Getty Images
「8月に起きた一連の出来事の後、出国への手助けを求めるグラさんからの訴えを受け止めた市民社会の人々、とりわけアフガニスタンで活動する非営利団体の人々からの要請に応じ、首相は自ら買って出て、アフガン市民の退避プログラムおよび同市民の受け入れと受容の政府プランで対応できる幅広い範囲の中で、彼女をイタリアへと移送することを計画した」と説明した。
CNNはイタリア政府に対し、グラさんの家族も移民認定を受けたのかどうか問い合わせたものの、返答は得られていない。
マッカリー氏は2016年、CNNの取材に対して撮影をめぐる話を語っていた。
その中で同氏は、「貫くような視線という、信じられないような外見を彼女が持っていることに気づいていた」とし、「だが我々の周囲には人だかりができていて、ほこりが舞っていた。デジタルカメラ以前の時代だったから、フィルムがどうなっていたかわからなかった」と語っている。
同氏がフィルムを現像した際、この写真が特別なものであることを理解したとし、「ナショナルジオグラフィックの編集者に見せたところ、彼は跳び上がって、『これは次号の表紙だ』と叫んだよ」と話した。