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ロシア人ジャーナリストのノーベル平和賞メダル、140億円で落札 ウクライナ難民支援に寄付

ノーベル平和賞授賞式でのドミトリー・ムラトフ氏(右)とフィリピンのマリア・レッサ氏(左)=2021年12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎

ノーベル平和賞授賞式でのドミトリー・ムラトフ氏(右)とフィリピンのマリア・レッサ氏(左)=2021年12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎/Alexander Zemlianichenko/AP

ロシア人ジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏が昨年受賞したノーベル平和賞のメダルを競売にかけ、20日、1億350万ドル(約140億円)で落札された。売上金は難民となったウクライナの子どもたちを支援するため寄付される。

ヘリテージ・オークションズは、ムラトフ氏が「ユニセフの子ども難民基金のために2021年ノーベル平和賞をオークションにかけ、1億350万ドルで売れた」とツイートした。

競売は世界難民の日に合わせて実施された。主催者によると、売上金は全額が、戦争によって難民となったウクライナの子どもたちのため、ユニセフによる人道支援に充てられる。

ムラトフ氏は競売を前に「この賞は、これを人々と分かち合う機会を私に与えてくれた」と述べ、世界中の人たちがこの運動に参加し、寄付を行ってほしいと呼びかけていた。

競売にかけられたメダルに関するヘリテージ・オークションズの説明によると、ノルウェー・ノーベル研究所のオラフ・ニュルスタッド所長も「惜しみない人道主義行為」として競売に賛同していた。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の最新統計によると、ロシアが2月下旬に侵攻を開始して以来、770万人以上がウクライナからの国境を越え、欧州全土で500万人以上のウクライナ難民が記録されている。

UNHCRは寄付を募る呼びかけの中で、ウクライナの子ども750万人が今も続く衝突のため、家族と離れ離れになったり、基本的な物資や資源が不足したり、日常的に爆弾に脅かされたりするなどの深い影響を受けていると指摘した。

ノーベル平和賞授賞式でのドミトリー・ムラトフ氏(右)とフィリピンのマリア・レッサ氏(左)=2021年12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎/Alexander Zemlianichenko/AP
ノーベル平和賞授賞式でのドミトリー・ムラトフ氏(右)とフィリピンのマリア・レッサ氏(左)=2021年12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎/Alexander Zemlianichenko/AP

ヘリテージ・オークションズはこう続けている。「目標は、このイベントを利用して難民危機への認識を高めてもらい、6月20日のオークション後もずっと寄付を続けてもらうことにある」

ロシアによるメディア弾圧

ムラトフ氏は「表現の自由を守る取り組み」が評価され、フィリピン系米国人ジャーナリストのマリア・レッサ氏とともに21年ノーベル賞を受賞した。

ムラトフ氏はロシアの独立系報道機関「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長を務める。ノーベル平和賞機関によると、同氏は「ロシアによる14年のクリミア併合と政府による軍事力の利用を、ロシア内外で批判した」。

同紙の記者はこれまでに6人が殺害されている。その中には、チェチェンでの人権侵害について報じ、ロシア政府を強く批判していたアンナ・ポリトコフスカヤ氏も含まれる。

ロシア政府はウクライナ侵攻後、独立系メディアに対する統制を強めている。3月には、ロシア軍の評判を傷つけたりロシアに対する制裁を呼びかけたりする「偽」情報を拡散させることを犯罪とみなす法案が議会で成立した。

この弾圧のために閉鎖され、記者が国外への出国を余儀なくされた媒体もある。

ノーバヤ・ガゼータは3月初め、政府の検閲を理由にウクライナでの戦争に関する記事をウェブサイトから削除したと説明。ウクライナの戦争が終わるまで休刊すると同月発表していた。

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