オーストリアで気候問題に抗議する活動家が、展示されているクリムトの絵画「死と生」に黒い液体を浴びせた。世界中で著名な芸術作品を狙った同様の行為が相次いでいる。
「ラスト・ジェネレーション」と称する団体に属するこの活動家2人は、現地時間の15日午前11時過ぎ、ウィーンのレオポルド美術館で当該の絵画を攻撃した。同館が声明で明らかにした。
作品に液体を浴びせた後、活動家の1人は作品を守るガラスに自身を接着した。
ラスト・ジェネレーションはツイッターに抗議の動画と画像を投稿した。
「石油とガスの新規掘削は人類に対する死刑宣告」と、同団体はツイート。これらの資源を探索する人々の手は血に染まっていると非難した。
続くツイートでは、気候崩壊に対して直ちに対策を講じるよう求めた。
「幹線道路の速度制限を時速100キロ以下とするのにコストはかからない。実行すればオーストリアだけで年間4億6000万トンの二酸化炭素の削減になる。騒音は減り、空気の質も向上し、道路はより安全になる。なぜやらないのか?」
初期段階の検証を経て、同館は作品と額に損傷はなかったと発表した。ただ「ガラスと安全用の枠組み、壁、床への被害は明白かつ甚大だ」と強調した。
警察と医療チームは攻撃が起きてから間もなく現場へ駆けつけた。また活動家らの個人情報を入手したと、美術館は付け加えた。
クリムトは「死と生」を1910年に描いた後、12~13年と15~16年にそれぞれ修正を加えた。作品は死を画面の左側、生を右側にそれぞれ配置。後者は複数の男女や子どもたちの姿で表現されている。