(CNN) スペイン北西部でこのほど、地元水道会社の従業員が約2500年前のネックレス2本を偶然発見する出来事があった。
セルヒオ・マルシアンディさんは8月29日、アストゥリアス州カバンディで作業中、岩の間に金のネックレスがあるのを発見した。
マルシアンディさんはこれをカンタブリア大学のパブロ・アリアス教授(先史考古学)に報告。アリアス教授が13日、発見についてCNNに証言した。
アリアス氏がアストゥリアス考古学博物館の専門家を伴って現地に向かい、初期調査を実施したところ、壊れて複数の破片に分かれた2本目のネックレスも見つかったという。
ネックレスの研究がもたらし得る新たな知見に考古学者らは胸を躍らせている/Museo Arqueológico de Asturias
アリアス氏は「大変印象的な発見」と語り、ネックレスが製作された鉄器時代への理解が深まる可能性があると言い添えた。
鉄器時代に由来する金のネックレスは他にも見つかっているものの、その大半は18~19世紀に発見されたもので、当時の限られた考古学技術では遺物の出所に関する情報の多くが失われてしまったと、アリアス氏は説明する。
今回のケースでは発見現場が無傷で残っていることから、考古学者は遺物の背景をより良く把握することができるという。
「ネックレスの発見場所について非常に正確な情報が得られた」「これは極めて例外的なことだ」(アリアス氏)
今回の発見で新たに多くの研究分野が生まれる可能性があると、アリアス氏は指摘する。これまでほとんど知られていなかった時代に新たな光が当たるかもしれない。
現在、ネックレスは装着者の皮膚や服と接触していたであろう部分に摩耗した形跡が見られる。
「実際に使用されていたことが分かる」(アリアス氏)
アリアス氏は、こうしたネックレスは社会の上層階級と関係があるとも指摘。「誰もがこのようなネックレスを手に入れる余裕があるわけではない」と説明する。
年代特定は難しいが、アリアス氏は2500年ほど前のものではないかと見ている。
アストゥリアス州政府は、ネックレスの発見直後に当局者に報告したマルシアンディさんの対応を称賛。10日の声明で今回の発見に触れ、「品質や製作した職人の技術を踏まえると、並外れた出来事といえる。何より、鉄器時代の金細工の最も象徴的な宝飾品を調査し、知見を得る窓を開くものだ。この窓は今まで閉ざされていた」と述べた。