(CNN) 米ミネソタ州のガレージセールで購入された絵は、オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの手による未知の肖像画だった――。専門家によるそんな分析が新たに発表された。
絵は1889年、南フランスの精神病院に滞在中だったゴッホによって描かれたものだという。美術調査会社LMIグループがキャンバスの織り目や絵の具の顔料などの特徴を分析した結果、明らかにした。
2016年に骨董(こっとう)品コレクターが入手した絵の右下隅には、「エリマール」という言葉が記されている。
サイズは45.7×41.9センチ。専門家は4年間の作業を経て、ゴッホの絵であることを確認した。
キャンバスの油絵には、パイプをくゆらせながら網を修理する白ひげ姿の漁師の肖像が描かれている。

専門家は4年間の作業を経て、ゴッホの絵であることを確認した/courtesy LMI Group International, Inc
LMIによると、デンマーク人の画家ミカエル・アンカー(1849~1927年)の絵が元になっており、他の画家の絵を「翻案」したゴッホの数多くの作品の一つだという。
研究チームは画布に埋め込まれた毛髪も発見し、分析に回した。LMIによると、人間の男性の髪の毛であることは分かったが、「劣化した状態」にあったため、毛髪のDNAをゴッホの子孫と一致させる試みは不首尾に終わった。
絵の分析は徹底的に行われたものの、オランダ・アムステルダムのファン・ゴッホ美術館によってゴッホの作品と認定される必要性がまだ残っている。
ファン・ゴッホ美術館は2018年12月、この絵の以前の所有者から打診を受けた際、ゴッホの絵と認定するのを拒んでいた。
ただ、19年に絵を入手したLMIは真贋(しんがん)に自信を示している。
LMIは報告書で、「以前存在が知られていなかったゴッホの絵が見つかるのは驚きではない」と指摘。「よく知られているように、ゴッホは多くの作品を紛失したり、友人に譲り渡したりしており、習作とみなした作品については特段大切にしていなかった。そうした習作は数多くある」としている。
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原文タイトル:Painting found at garage sale is a Van Gogh, experts say(抄訳)