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時代を先取り、革新的なコンセプトカー10選

Courtesy GM Media Archive/Gestalten

自動車産業は今、その歴史上最大規模の変化に直面している。遠くない将来、大半の車は完全な電気自動車か自律走行車になる見通しで、新たなテクノロジーの搭載により、おなじみの車体形状も一変するかもしれない。ただ、今のところ、自動車デザインにパラダイムシフトが訪れているという目立った兆候はまだ少ない。

独創的かつ革新的な過去の自動車デザインを振り返り、変革の時代においてどの要素が創造性やイノベーションをもたらしうるか探る上で、これほど良い時代もないのではないだろうか。以下では世界を驚かせた10の車を紹介する。

ビュイック Y-Job

Courtesy GM Media Archive/Gestalten
Courtesy GM Media Archive/Gestalten

ハーレー・アールの設計で1938年に発表された「ビュイック Y-Job」。主要メーカーによる初のコンセプトカーとみなされている。電動式の屋根や窓、彫刻のような車体を採用し、後続世代の自動車デザイナーを触発した。

バックミンスター・フラーのダイマクション

Courtesy Nigel Young/FosterPartners/Gestalten
Courtesy Nigel Young/FosterPartners/Gestalten

1933年のシカゴ万国博覧会では、建築家であり独創的なデザイナーでもあったバックミンスター・フラーが未来の車の構想を提示した。フグのような3輪車両だが、燃費効率と高速性で鮮烈な印象を残した。量産されることはなかったものの、最近になり建築家のノーマン・フォスターが試作車の一つをよみがえらせている。

GM ファイヤーバード

Courtesy GM Media Archive/Gestalten
Courtesy GM Media Archive/Gestalten

ゼネラル・モーターズ(GM)は1953年、航空宇宙分野の革新に触発されて試作車「ファイヤーバード」の初代版を発表した。ガスタービンエンジンを搭載しており、主翼や尾翼を備えた外観は自動車というより車輪に乗せたロケットのようだった。

アルファロメオ B.A.T.7

Courtesy Peter Harholdt/Gestalten
Courtesy Peter Harholdt/Gestalten

1950年代にイタリアの路上を席巻した「アルファロメオ1900」のバロック的な形状を考えると、ベルトーネの試作車「B.A.T」がまさにこの車を基にしているとは信じがたい。

ジェット機時代の米国の造形やイタリア流の感覚に加え、抵抗係数も目を見張るものがある。「バットマン」に登場する「バットモービル」さながらの同車は、機能に応じて形状が決まった驚異的な例だ。

ランボルギーニ・マルツァル

ロンドン・モーターショーでプレビューされたランボルギーニ・マルツァル=1967年10月17日/Mike McLaren/Hulton Archive/Getty Images
ロンドン・モーターショーでプレビューされたランボルギーニ・マルツァル=1967年10月17日/Mike McLaren/Hulton Archive/Getty Images

ベルトーネの鬼才デザイナー、マルチェロ・ガンディーニが手掛けた「ランボルギーニ・マルツァル」は、くさび形の車の最初期の例といえる。こうしたくさび形は1980年代までイタリア車のデザインの特徴であり続けた。1967年にジュネーブでお披露目され、今なお自動車史上有数の驚異的なコンセプトカーとなっている。

フェラーリ・モデューロ

Courtesy Pininfarina SpA/Gestalten
Courtesy Pininfarina SpA/Gestalten

ピニンファリーナのデザイナー、パオロ・マルティンが1968年の休暇中に設計した「フェラーリ・モデューロ」では、徹底的に幾何学形状を追求した。高さが0.93メートル程度の車体に大きなV型12気筒エンジンを搭載し、スピードは時速350キロを超えるとも言われていた。ただ、ホイールアーチがないことからコーナーを曲がるのはほぼ不可能だった。

マセラティ・ブーメラン

Courtesy Bonhams/Gestalten
Courtesy Bonhams/Gestalten

フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」やフィアットの「パンダ」など、ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けた自動車は万人向けだった。だが、そんな中で異彩を放っていたのがマセラティ・ブーメランのデザインだ。1971年に披露された当時は究極のくさび形試作車とみられていたが、業界が石油危機に見舞われたことを受け、自動車デザイナーも再び地に足をつけることを余儀なくされた。

アウディ・アヴス

Courtesy Audi AG/Gestalten
Courtesy Audi AG/Gestalten

1994年当時のアウディが保守的な伝統志向のブランドと見なされていたことを忘れてはいけない。しかし、そのイメージは、東京で全アルミ製のコンセプトカー「アヴス・クワトロ」がお披露目されたことで一変した。量産には至らなかったものの、新たな外観は「TT」のような名車の着想源となった。

Ford 021C

Courtesy Marc Newson Ltd/Tommaso Sartori/Gestalten
Courtesy Marc Newson Ltd/Tommaso Sartori/Gestalten

マーク・ニューソンがデザインを手掛けた「Ford 021C」はごく小さく、遊び心あふれる内装を備え、子どもが描く車の絵にも似ていた。ニューソンのコンセプトは一度きりのものだったが、「スマート」や新型の「ミニ」も含め、2000年代の売れ筋の街乗り車は大抵、車が美学的にまだまだ楽しめるという哲学にのっとっていた。

ユナイテッドヌード Lo Res Car

Courtesy United Nude/Gestalten
Courtesy United Nude/Gestalten

この10年間で最も大胆なコンセプトカーのひとつが車の専門家ではなく靴デザイナーによって生み出されたことは、象徴的といえるかもしれない。ユナイテッドヌードはランボルギーニ「カウンタック」に触発され、そのくさび形のボディーを単純なベクトル形状に落とし込んだ。誰もが気に入るというわけにはいかなそうだが、3DプリントやDIYの無限の将来性を示しており、小規模なデザインスタジオやメーカーの再興につながる可能性もある。

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