ドイツ自動車大手BMWは30日までに、世界で最も黒い物質とされる「ベンタブラック」の派生素材で塗装したX6の特別モデルをモーターショーで公開すると発表した。
ベンタブラックは99%の光を吸収する。2016年には英国人アーティストのアニッシュ・カプーア氏が独占使用権を購入して反発を招く出来事もあったが、今回使われた「ベンタブラックVBx2」はこれとは若干異なる。
今回の物質は「スーパーブラック」に分類される一方で、どの角度からも少量の光を反射する。このため、元のベンタブラックよりも自動車用塗料に適しているという。
その効果は驚くべきもので、ライトやグリルといった部分を引き立たせつつ、全体に不気味な存在感を与える仕上げとなった。
/BMW Group
新型X6をデザインしたフセイン・アル・アター氏はベンタブラックVBx2について、デザイナーにとって新たな可能性を切り開く素材だと強調。「光や反射に気を取られることなく、(シルエットやプロポーションといった)自動車デザインの基本的な側面を前面に出せるようになる」としている。
ベンタブラックは英企業サリー・ナノシステムズが2014年に発明した。宇宙用部品のコーティングに使い、遠くの銀河や光の弱い恒星の観測を可能にする目的だった。
現在では自動車のセンサーにベンタブラックVBx2が使われる場面が増えているという。
ベンタブラックをまとったX6は、9月12~22日にかけてフランクフルト・モーターショーで展示される予定。新型X6がショールームに登場するのは11月からだ。