(CNN) ウクライナ生まれのモデルで「ミス日本」に選出され、文化的アイデンティティーの議論を巻き起こしていた椎野カロリーナさん(26)が、戴冠(たいかん)からわずか2週間で受賞を辞退した。
ルーツの大部分を欧州に持つ人物として初めてコンテストを制した椎野さんは、5日に受賞の辞退を決めたことを発表した。これに先駆け、地元メディアが既婚男性との恋愛疑惑を報じていた。
インスタグラムに投稿した声明で、椎野さんは男性の家族や関連する人たちに謝罪。所属するタレント事務所との契約も解除したと明らかにした。その上で、多くの人々に多大な迷惑をかけ、支えてくれた人たちを裏切ったことを本当に申し訳なく思うとつづった。
一方、ミス日本を運営するミス日本協会も声明を発表し、「ミス日本グランプリを受賞した椎野カロリーナ本人より、一身上の都合により、これを辞退したいとの申し出がございました」と述べた。協会の和田薫会長は、2024年のグランプリを「空位」とすると付け加えた。
日本国籍を持ち流暢(りゅうちょう)な日本語を話す椎野さんは、5歳の時から日本に住んでいる。それでもミス日本への選出は物議を醸した。批判的な見解の中には、日本に民族的ルーツを持たない人物に日本の美意識が備わっているのか疑問を呈する声もあった。
椎野さんは先月の受賞後、東京でCNNのインタビューに答え、日本人として認められたかったと心情を吐露。「私は日本人ではないと言われ続けたけど、絶対に日本人なので」自分を信じてミス日本に出場した、認めてもらえて本当にうれしかったと語っていた。
欧州にルーツを持つ受賞者を選んだ判断は、ソーシャルメディア上での議論を引き起こした。日本人であることの意味や、西洋の美意識がアジアに与える影響を問う声が寄せられた。
歴史研究家の山下弘枝氏はXで「人種差別は絶対に許してはならない」とした上で、「ミス日本というコンセプトで容姿を競うなら、これぞ日本の美という基準であってほしいと個人的には思う」とコメント。椎野カロリーナさんの容姿では、「現代的美女の価値観下、純血の日本人は勝ち目無し」と指摘した。
CNNの取材に対し、椎野さんは日本で成長する中で直面した困難について語った。日本は民族的に均質で移民が比較的少ない国だが、日本人と認める人の定義を広げてほしいというのが椎野さんの願いだ。その上で、結局のところ自分たちは多様性の時代、多様性が必要とされる時代に生きていると訴えた。