(CNN) ミス・ユニバース・オランダ大会が廃止された。廃止に先立ち、大会主催者は変化の時が来たと発言していた。
オランダ大会が今後開催されることはなく、代わりに主催者は若者をさまざまな方法で「刺激する」ことを目的とした新しい取り組みを採用している。
この動きのわずか1年前には、ミス・オランダ大会史上初めてトランスジェンダーのリッキー・コレさんが優勝していた。
2020年ミス・オランダのファイナリストたち/Sander Koning/ANP/AFP/Getty Images
大会のウェブサイトに掲載された声明では、大会の終了と「Niet Meer Van Deze Tijd(もうこの時代ではない)」という新しいプラットフォームの設立が発表された。
声明は「魅力、才能、インスピレーションに満ちた長年の歴史を経て、ミス・オランダは多くの人々の心に刻まれたその名前と決別する。これは終わりではなく、新たな始まりだ。世界は変化しており、私たちもそれとともに変化していく」と述べている。
また、ミス・オランダ大会は、メンタルヘルス、ソーシャルメディア、多様性、自己表現などを中心に展開するプラットフォームへと形を変え、「王冠はもうないが、つながる物語がある。ドレスはないが、実現する夢がある」と書かれている。
「私たちは、絶えず変化する世界で、若者が自分らしくいられるよう鼓舞する」
2021年ミス・オランダの優勝者、ジュリア・シニングさん/Ramon van Flymen/EPA-EFE/Shutterstock
ミス・オランダ大会の責任者で、この新しいプラットフォームの創設者でもあるモニカ・バン・イー氏はCNNに対し、「女性はとりわけSNSの台頭とそれがもたらす非現実的な美のイメージによって不安を感じている」と話す。
バン・イー氏はこれまでのコンテストの記録を擁護し、チームは長年にわたり「参加者と集中的に取り組んできた」と述べたうえで、女性のエンパワーメント(力を高めること)は「単なる空虚な言葉ではなく、運動」だと語った。
しかし、視聴者からの意見に対処するのはますます難しくなっていった。
同氏は中止した理由について、当初「観客の執拗(しつよう)さ」と、「彼女は白人すぎる」「彼女は黒人すぎる」などの批判から生じたと説明。「これは毎年、ネガティブなエネルギーをもたらす」と述べた。
2018年のミス・オランダ大会でパフォーマンスをする参加者/Jerry Lampen/ANP/AFP/Getty Images
同氏は2番目の理由として、守りに入るのではなく、前向きなエネルギーを活用したいと考えたことを挙げた。「今、私たちはすべての人に働きかけ、適切な連帯感を提供できる。私たちは私たちのプラットフォームを信じている。おそらく肩帯と王冠は時代遅れだ。お互いを支え、助け合う女性が私たちにとって常に重要であり続けてきた」
2023年のミス・ユニバースに出場したトランスジェンダーの女性2人のうちの1人であるコレさんは、自身の影響力を生かして、大会の世界観を示すより包括的なビジョンを広めた。
コレさんは昨年インスタグラムに投稿した動画で、大会に出場した際に自分自身を一言で表現するように求められたときのことを語った。
「私が選んだ言葉は『勝利』だ。なぜなら私は幼い少年だった頃、自分の道に立ちはだかるすべてのことを克服したからだ。そして今、私は強く、力を得て、自信に満ちたトランスジェンダーの女性としてここに立っている」(コレさん)
ミスコンの世界は近年、その従来の価値観が若い世代に受け入れられないために近代化を余儀なくされている。
先月メキシコ市で開催されたミス・ユニバースでは、初めて28歳以上の女性の参加が認められた。これは、妊婦や母親、既婚または婚姻歴のある女性の出場禁止を撤廃した昨年の動きに続くものだ。
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原文タイトル:Miss Netherlands pageant scrapped as ‘the world is changing,’ organizers say(抄訳)