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爆発する芸術――中国で花火はどのように作られるのか

Lam Yik Fei/Getty Images AsiaPac/Getty Images

花火は何世紀にも渡り、建国記念日や結婚式、誕生日、葬儀、新年の祝いなど、世界中のさまざまな主要な行事を記念するために使われてきた。

しかし、花火作りは細心の注意を要する。完成まで何日もかかることがある花火作りは、それ自体が芸術だと語るのは、中国の大手花火メーカー、江西中森礼花股份有限公司で製造・技術部門の責任者を務めるウー・ホンヨン氏だ。

江西中森礼花は毎年、世界各国に3万箱以上の花火を出荷しており、しかも同社の花火はすべて手作りだ。

春節を祝う花火=大連市
春節を祝う花火=大連市

今から2000年以上前に初めて火薬を発明した中国は、今や世界一の花火生産国だ。米国の独立記念日に打ち上げられる花火の90%以上が中国製で、2016年には独立記念日の祝賀行事向けに3億780万ドル相当の花火を米国に輸出した(同年、米国が独立記念日向けに生産した花火はわずか1000万ドル相当にすぎなかった)。

花火作りについて、ウー氏は「複雑で面倒な作業だ」とし、さらに「材料の購入から製作まで、多大な時間を要する」と付け加えた。

花火の中には「星」と呼ばれる火薬でできた小さな玉が入っており、夜空に色鮮やかな花火を打ち上げられるか否かはこの「星」にかかっている。星は殻の中で火薬と混ぜ合わされ、紙で包まれた後、導線が取り付けられる。星は包み方やプレスの仕方によって形を変えることができ、目的に合わせて形を指定して購入することも可能だ。

今や祝賀行事には欠かせない花火だが、環境保護主義者の間では花火に対する懸念が高まっている。花火を打ち上げる際に発生する煙には微細な金属粒子が含まれており、花火の使用が短期的に大気質を低下させるとの研究結果もある。中国政府はすでに400以上の都市で花火の使用を禁じており、その理由のひとつが環境への懸念だ。

「花火の滝」に撃たれる人たち=台南
「花火の滝」に撃たれる人たち=台南

また火薬であふれる工場で花火を製造している作業員らも危険にさらされている。2014年に中国湖南省の花火工場で爆発事故が発生し、12人の作業員が死亡した。また2016年にも湖南省に隣接する江西省で発生した同様の事故でも3人が死亡し、工場周辺に住む多くの住民が避難した。

300人以上の従業員を抱える江西中森礼花では、たびたび大規模な安全点検が行われている。ウー氏によると、箱詰めされた花火をまず同社の6つの部門が検査し、その後政府機関に送られ、そこでさらなる検査が行われるという。

工場の従業員にとっては、これが通常、自分たちで作りだした製品を目にする最後の機会となる。とはいえ、空に打ち上げられた花火を眺めることは、作り手たちにも感銘を与える。

従業員の1人は、花火が爆発して壮大な景色が広がると素晴らしい気持ちになると語った。

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