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「信念もって立ち上がる時」、ヴォーグ誌編集長A・ウィンター氏に聞く CNN EXCLUSIVE

ファッション業界の最前線で活躍するA・ウィンター氏がCNNの独占取材に応じた

ファッション業界の最前線で活躍するA・ウィンター氏がCNNの独占取材に応じた/CNN

アナ・ウィンター氏が、米ファッション誌「ヴォーグ」の編集長としての30年に及ぶキャリアを通じて築いた普遍的地位は、ファッション業界において他の追随を許さない。今やウィンター氏の名声は、ヴォーグ誌のそれをも凌ぐ。

70歳を迎える今年も現職に留まるとのヴォーグ誌の主張を信じるのなら、ウィンター氏は今後、これまでのキャリアで最も困難な状況に直面するかもしれない。

多くの従来型メディア企業がそうであるように、ヴォーグとその親会社コンデナストは、方向性の見直しを進めている。コンデナストは最近、印刷版の「グラマー」「ティーン・ヴォーグ」「セルフ」など、多くの雑誌を休刊した。

しかし、ヴォーグなど、コンデナストが出版する数多くの雑誌の「デジタルハブ」と言われる同社のロンドンオフィスは、過去1年半に社員数、規模ともに大きく成長した。また「ヴォーグ・ビジネス」など、デジタル版のみの雑誌も相次いで創刊している。

2018年5月、ニューヨークのメトロポリタン美術館でのファッションイベントに出席したウィンター氏/Jason Kempin/Getty Images North America/Getty Images
2018年5月、ニューヨークのメトロポリタン美術館でのファッションイベントに出席したウィンター氏/Jason Kempin/Getty Images North America/Getty Images

とはいえ、大型船の操縦がモーターボートの運転とは全く別物であるのと同様、メディア界を代表する有力誌であるヴォーグは、新しくて規模も小さく、もともとデジタル雑誌として創刊された競合誌ほど迅速にはデジタル化に適応できていないのが実情だ。

それでもウィンター氏は、ニューヨークで行われたCNNのクリスティアン・アマンプールとの独占インタビューの中で、変化を遂げつつあるメディア界について楽観的な見方を示した。

「今は多種多様な手段で読者に語り掛けられるので、われわれは大変恵まれていると思う」とウィンター氏は言う。

またウィンター氏は、インタビューの中で何度か「態度を明確にする」という考えに立ち返った。ウィンター氏の政治への関与、特に前回の大統領選でヒラリー・クリントン氏を支持したことは、マスコミでもよく取り上げられている。またウィンター氏は、ミシェル・オバマ前大統領夫人をヴォーグの表紙に3回も起用した。

ヴォーグの表紙を飾るミシェル・オバマ前大統領夫人/Vogue
ヴォーグの表紙を飾るミシェル・オバマ前大統領夫人/Vogue

ヴォーグの政界への進出を通じて何を伝えようとしたのか、との問いに対し、ウィンター氏は次のように答えた。

「今はあいまいな態度を取るべき時ではない。私はそう考えている。コンデナストの従業員 は誰もが、自分が信じることのために立ち上がり、そして自分なりの見方・考え方を持つ必要があると考えているだろう」

ウィンター氏は、強力なリーダーシップのある女性や他の模範となる女性を明確に支持する一方、幼い頃に同氏に刺激を与え、ジャーナリズムの道に導いてくれた父に感謝している。

ロンドンの夕刊紙「イブニング・スタンダード」の編集長を20年近く務めたウィンター氏の父は、同氏にいろいろな意味で影響を与えたのかもしれない。

そのキャリアを通じ、ウィンター氏のイメージは常に神秘的で、人々の好奇心の的だった。世間が同氏について単に少し冷たい人間なのだと考えるのであれ、あるいは映画「プラダを着た悪魔」の主人公ミランダ・プリーストリー(ウィンター氏がモデルと言われている)のように、部下たちに対し暴君のように振る舞えるタイプと信じ込むのであれ、彼女の鋭敏さこそがメディアやファッション業界を魅了してきたことは間違いない。

「時おり、ある一定レベルの個人的な批判にさらされることがある。おそらく同じ立場の男性には向けられないであろう類いの批判だ」とウィンター氏は言う。

2017年2月、米郵政公社の式典でヒラリー・クリントン元国務長官(左)と同席/Drew Angerer/Getty Images North America/Getty Images
2017年2月、米郵政公社の式典でヒラリー・クリントン元国務長官(左)と同席/Drew Angerer/Getty Images North America/Getty Images

例えば、同氏の外見は常に議論の対象だ。しばしばやせすぎとの批判を受けるというが、女性であることが大きなハンデとは感じていないとウィンター氏は語る。「私は非常に集中している」とし、「考えが明確で、物事に集中しているので、他のことが入り込む余地はない」と付け加えた。

またウィンター氏は、個人的にソーシャルメディアを利用していないため、私生活をうまく隠せている。そのためマスコミは、発言の中のわずかなヒントやうわさ、さらに本人が出演するドキュメンタリー作品などからそれを類推するしかない。

ウィンター氏にとって、サングラスは彼女の秘密を暴こうとするさまざまな試みから身を守るための最も明白な手段だろう。インタビュー中もずっとサングラスをかけていた同氏は、「(サングラスは)他人に心を読まれずに済むので非常に便利」と言う。

めったに個人情報を明かすことのないウィンター氏だが、この日は体調がすぐれないことを認めた。「本音を言うと、信じられないほどの体調不良が1週間ずっと続いていた。加えて、目の手術も受けたばかり。それが今日サングラスをかけている本当の理由」とウィンター氏は明かした。

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