中国の女優ヤン・ミー氏は11日、ブランドアンバサダーに起用されていたヴェルサーチェとの契約を解除すると明らかにした。ヴェルサーチェがTシャツ上で香港とマカオを国と表記したためとしている。
香港とマカオはいずれも中国の特別行政区に指定されており、半自治的な政府を持つ。同社とデザイナーのドナテラ・ヴェルサーチェ氏は誤りがあったとして謝罪した。
ヤン氏の声明は中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」にある事務所の公式アカウントに投稿された。
声明では「中国の領土の一体性と主権はいかなる時でも神聖不可侵だ」とし、「中華人民共和国の企業と国民として深く気分を害している」と表明。さらに、「一つの中国」原則の維持と国家統一の防衛は「全中国国民の義務」だと強調した。
一方、ヴェルサーチェは正式に謝罪した上で、問題のTシャツは既に販売を中止したと説明。ドナテラ氏も「当社による最近の不適切な誤りを大変申し訳なく思う」「中国の国家主権に対する敬意を欠くつもりはなかった」などと謝罪した。
香港で反中国デモが広がったことを受け、中国の主権をめぐる問題はここ数カ月で激化している。
民主派のデモ隊は林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が提出した「逃亡犯条例」改正案に抗議。当局による訴追目的での反体制派の本土引き渡しが可能になると懸念を示した。ラム氏は改正案は「死んだ」と発表したものの、中国当局の影響力拡大を恐れる市民の間で抗議が続いている。