(CNN) ルルレモンもベルルッティもラルフローレンも押しのけて、インターネットがパリ2024オリンピックのユニホーム世界一に選んだのは、モンゴルだった。
精密な刺繍(ししゅう)を施したベスト、プリーツ加工のローブ、伝統装束をモチーフにしたアクセサリー。モンゴル代表が開会式と閉会式で身に着ける衣装は先週発表されて以来、SNSでセンセーションを巻き起こしている。
デザインを手がけたミシェル・アマゾンカ(本社ウランバートル)は、「モンゴルの伝統と文化の本質」を「現代の光」で表現したクチュールやプレタポルテ(高級既製服)を制作している。
デザインには青、赤、白の国旗の色のほか、国旗にも描かれている「ソヨンボ」などさまざまな伝統的模様やモチーフが取り入れられている/Michel Amazonka
同社は高級ファッションブランドを思わせる美しい写真や動画を通じてこのデザインを発表した。女性選手のユニホームには礼装用のイヤリングと刺繍入りのバッグが付属し、男性旗手はアーチェリー帽、ベルト、モンゴル伝統のブーツを着用する。
デザインには国の色の青、赤、白を取り入れて伝統的な模様や絵柄をあしらい、国旗に登場するシンボルのソヨンボ文字を配している。パリを象徴するエッフェル塔と、オリンピックを象徴する聖火も描かれた。
モンゴル国家オリンピック委員会によると、ユニホームの制作にはそれぞれ平均で20時間を要した。
このユニホームはSNSで注目の的になり、特にTikTokでファッションやスポーツ評論家がデザインを絶賛している。ファッションライターのライアン・イップさんが「オリンピック開幕前に勝利した」と語る動画は200万回以上再生された。
約30万回再生された別のTikTok動画では、オーストラリアのビー・ジェイミソンさんが「ディテールが本当に美しい。何もかも本当によく考え抜かれているように見える」と論評。スポーツクリエーターのgeoff0w_は「ものすごく大変」とコメントした。
同ブランドのインスタグラムでも、「これまでで最も美しいユニホーム」「こんなに精巧で美しいデザイン!」など、ユーザーからの絶賛の声が止まらない。
ミシェル・アマゾンカはMichel ChoigaalaaとAmazonka Choigaalaaの姉妹が創設。北京2022冬季オリンピックと東京2020夏季オリンピックでもモンゴル代表のユニホームを手がけていた。モンゴルは東京大会で銀メダル1個と銅メダル3個を獲得している。
モンゴル国家オリンピック委員会によると制作には1着あたり平均で20時間を要した /Michel Amazonka
モンゴルは1964年以来、夏季の1回を除く全大会に出場してきた。陸地に囲まれた同国が金メダルを獲得したのは、北京2008大会の柔道とボクシングのみ。
7月26日に開幕する今年のパリオリンピックには、30人以上の選手団を送り込み、自転車、射撃、レスリングなど9競技に出場する。
今大会は、ベルルッティがフランス代表の開会式と閉会式で着用するユニホームをデザインし、米代表のユニホームは08年以来毎回担当しているラルフローレンが手がけた。英国は紳士服のベンシャーマンを起用した。