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メラニア夫人が大統領就任式の装いで伝えたメッセージとは

アダム・リップスのウールコートとボーターハットに身を包みセントジョンズ教会を訪れたメラニア・トランプ大統領夫人

アダム・リップスのウールコートとボーターハットに身を包みセントジョンズ教会を訪れたメラニア・トランプ大統領夫人/Jeenah Moon/Reuters

(CNN) 米連邦議会議事堂のロタンダ(円形大広間)で宣誓を行うトランプ米大統領の背後に立つ妻、メラニア氏の目はウールのボーターハットのつばでほぼ覆い隠されていた。

ニューヨークを拠点とする帽子デザイナー、エリック・ジャビッツ氏によってデザインされたこの帽子は、整然とした軍服風の装いに控えめな華やかさを加えていた。ネイビーのシルクウール製ダブルブレストコートはウエストが絞られたデザインで、足元は素足にピンヒールを合わせていた。

この衣装は、ニューヨークを拠点とするデザイナーのアダム・リップス氏によってデザインされたものだ。リップス氏はバイデン前大統領の妻、ジル氏やオバマ元大統領の妻、ミシェル氏の服も手掛けている(メラニア氏はこれまでにもアダム・リップスを何度も着用しており、直近では昨夏、ニューヨークで同ブランドのシャツドレスを選んでいたほか、トランプ氏の1期目在任中にも何度か着用していた)。コートの下には、シルクウール製のペンシルスカートと、襟元がシャープなアイボリーのシルククレープブラウスを身に着けていた。これらはすべてニューヨークにいるリップス氏のチームが手作業で縫い上げたものだ。リップス氏は声明で、「大統領就任式の伝統は米国の民主主義の美しさを体現している。本日、メラニア・トランプ夫人の衣装を整える栄誉に浴した」と述べた。「トランプ夫人の衣装は米国最高水準の職人たちによって生み出されたものであり、世界にこのような仕上がりを見せられることに大きな誇りを感じる」

今回が過去40年間で最も寒さの厳しい就任式だったことを示す唯一の兆候は、メラニア氏が着けていた黒い革製手袋だった。

第47代大統領の宣誓を行う直前にメラニア夫人にキスをするトランプ氏/Saul Loeb/Pool/AFP/Getty Images
第47代大統領の宣誓を行う直前にメラニア夫人にキスをするトランプ氏/Saul Loeb/Pool/AFP/Getty Images

しかし、注目を集めたのはその帽子だった。「Electing Madam Vice President: When Women Run, Women Win(原題)」の著者であるニコラ・グトゴルド教授はCNNのメール取材に対し「帽子で顔が半分隠れていることで、メラニア氏は超然としていた」と語った。

メラニア氏の装いには、わずかに対抗的な鋭さが見られたが、これは同氏にとって珍しいことではない。2017年から21年の1期目の間、メラニア氏のスタイルは進化を遂げ、カーキ、ネイビー、グレーの軍服風のかっちりとしたドレスやスカートスーツが増えていった。CNNの元ホワイトハウス特派員、ケイト・ベネット氏は就任式前に「公的なイメージが明らかになる中でも、彼女はプライバシーを求めていた」と述べた。「彼女の服装はそれを反映していたと思う。長袖でウエストが絞られたシルエット、しっかりした肩、長めの裾。ほとんど軍服のような雰囲気だった。それはまるでよろいのように感じられたからだろう。なぜなら彼女は4年間、本当に強い批判を受け続けたからだ」

ジル・バイデン夫人の紫の衣装はラルフ・ローレンが手がけた/Jim Lo Scalzo/EPA/Bloomberg/Getty Images
ジル・バイデン夫人の紫の衣装はラルフ・ローレンが手がけた/Jim Lo Scalzo/EPA/Bloomberg/Getty Images
左からメタのマーク・ザッカーバーグCEO、ローレン・サンチェス氏、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏、グーグルのスンダー・ピチャイCEO、テスラおよびスペースXのイーロン・マスクCEO/Saul Loeb/POOL/AFP/Getty Images
左からメタのマーク・ザッカーバーグCEO、ローレン・サンチェス氏、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏、グーグルのスンダー・ピチャイCEO、テスラおよびスペースXのイーロン・マスクCEO/Saul Loeb/POOL/AFP/Getty Images

ホワイトハウスの階段でジル氏と並んだ際、同氏の柔らかいシルエットの装いと対照的だったことで、メラニア氏の堅苦しいかっちりとした服装はさらに際立った。ジル氏が選んだリラックスしたタイウエストのコートとブラウスは、超党派を示す紫色で、ラルフ・ローレンによってデザインされた。ラルフ・ローレンは17年の就任式でメラニア氏のパウダーブルーの装いを手掛けたブランドとしても知られている。この装いは、ジョン・F・ケネディ元大統領の妻、ジャクリーン氏に例えられた。

8年前にメラニア氏が歴史上最も尊敬されるファーストレディーの一人をまねようとしていたとすれば、今回は新しいことに挑戦したようだ。グトゴルド氏は、メラニア氏の帽子について「女王のようなオーラ」を醸し出していると述べた。一方、ニューヨーク・タイムズ紙のチーフファッション批評家バネッサ・フリードマン氏はCNNに対し、メラニア氏は「米国のファーストレディーというよりも、むしろ王室の家庭教師のように見える」と語った。17年当時のメラニア氏はファッションのソフトパワーを用いて、おそらく最も親しみやすい大統領夫人だったジャクリーン氏に自らを合わせようとしていた。しかし今回の同氏の装いは距離を作ることに重点を置いているように見える――外界に対する物理的な盾として。

J・D・バンス副大統領の妻、ウーシャ夫人はジャクリーン・ケネディ氏をほうふつとさせるオスカー・デ・ラ・レンタのパステルピンクのカシミアコートドレスにスエードのブーツを合わせた/Jeenah Moon/Reuters
J・D・バンス副大統領の妻、ウーシャ夫人はジャクリーン・ケネディ氏をほうふつとさせるオスカー・デ・ラ・レンタのパステルピンクのカシミアコートドレスにスエードのブーツを合わせた/Jeenah Moon/Reuters

ジャクリーン氏から着想を得ているかのように見えたのはメラニア氏ではなく、新しい副大統領J・D・バンス氏の妻、ウーシャ氏だった。ウーシャ氏は、オスカー・デ・ラ・レンタの特注のパステルピンクのカシミアコートドレスに身を包んでいた。この色はジャクリーン氏の遺産と切り離せない。例えば、夫が暗殺された日に着ていたシャネルのスーツなどだ。

イバンカ・トランプ氏も深緑色のベレー帽で注目を集めた/Matt Rourke/AP
イバンカ・トランプ氏も深緑色のベレー帽で注目を集めた/Matt Rourke/AP

原文タイトル:Melania Trump’s boater-style hat and other key inauguration looks(抄訳)

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