フランス北西部ブルターニュ地方にある屋敷で建設業者によって発見された金貨239枚が今月オークションに掛けられることになった。落札価格は最大30万ユーロ(約4000万円)に上る可能性があるという。
競売に先立って主催者が発表したプレスリリースによると、この財宝は同国沿岸部のビグダン地方で2019年、家屋の修復作業に当たっていた職人3人が発見した。この屋敷はあるカップルが12年に購入していた。
職人らは壁の内部に埋め込まれた金属の箱を発見。中には金貨が入っていたという。さらに数日後には、はりの上部から別のコイン類が入った金袋も見つけた。
硬貨の鑑定、分析および調査に当たった同国の地域予防考古学局によると、239枚全て、ルイ13世および14世の在位時に鋳造された。
最古のものは1638年、最も新しいものでも1692年にさかのぼるという。
発見物の中には、テンプル騎士団の十字架や巻き髪姿の横顔が彫られたものなど、とりわけ希少な硬貨が複数含まれている。ルイ14世の金貨は推定1万5000ユーロ(約196万円)の評価額となっている。
この屋敷は13世紀に建設され、裕福な商人もしくは農場主が所有していた。これまでに分かっている最後の所有者は18世紀の人物だという。
コレクションには巻き髪姿の横顔が彫られたルイドール金貨など、非常に希少なものも複数含まれる/IVOIRE ANGERS/DELOYES
ブルターニュ沖のイロワーズ海は、17世紀に貿易でにぎわっていた。プレスリリースによるとボルドーワインがイングランドに、穀物類が北欧にそれぞれ輸出されていたという。
1750~1850年には財政的な落ち込みに見舞われたが、それは近隣のノルマンディー地方にある港で貿易が拡大したのが一因だった。ただ水産業の発展により、地元の産業は息を吹き返した。
発見された硬貨類の値打ちは、今月29日にアンジェにある競売施設でのオークションで評価されることになる。
また利益はまず、発見者側と屋敷の所有者側で二分された後、それぞれが発見者の職人3人と所有者のカップル2人に分配されるという。