競売大手のサザビーズがアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで、本当にこの世の外からやってきた555.55カラットのブラックダイヤモンド(黒ダイヤ)を公開した。
サザビーズが「エニグマ」と名付けたこの珍しい宝石は宇宙からやってきたと信じられている。流れ星の衝突か、「ダイヤモンドを含んだ」小惑星が地球にぶつかって生み出されたとみられている。
サザビーズによれば、この大きさの天然のカットされた黒ダイヤは「非常に珍しい」。ドバイと米ロサンゼルスで展示された後、英ロンドンで2月に競売にかけられるが、最高500万ポンド(約7億8000万円)で落札されるとみられている。
黒ダイヤは「カーボナード」としても知られ、26億~38億年前にさかのぼることができ、星間空間で見つかる元素の窒素や水素を微量に含む。黒ダイヤはまた、隕石(いんせき)に存在する鉱物のオスボルナイト(窒化チタン)を含んでいる。
ロンドンのサザビーズの宝石の専門家ニキータ・ビナニ氏は当該のダイヤモンドを「真の自然の驚異」と呼ぶ。
ビナニ氏は17日、声明で、「黒ダイヤの販売は、最も希少で10億年の年月を経た、人類が知る宇宙の驚異のひとつを手に入れる一生に一度の機会だ」と述べた。
当該の黒ダイヤは星間空間からやってきたとみられている/Sotheby's
当該のダイヤモンドの形は中東の手のシンボルの「ハムサ」から発想を得た。ハムサはお守りの印でアラビア語で「5」を意味する。サザビーズによれば、数字の5のテーマはダイヤの至るところに表れている。555.55カラットに加えて、カットされた面もきっちり55面となっている。
サザビーズはCNNの取材に対し、黒ダイヤは過去に1カラットあたり1万ポンドを超える価格で販売されたと述べた。
黒ダイヤの競売は2月3日から9日にオンラインで行われる。サザビーズによれば、支払いは暗号資産(仮想通貨)でも受け付ける。
暗号資産での支払いの受け付けの動きは、これまでもあった。サザビーズによれば、「ザ・キー10138」と呼ばれる101カラットのダイヤモンドが昨年競売に出され、暗号資産で購入された史上最も高額な宝石となっていた。
サザビーズが伝統的な形式の支払いに加えて、暗号資産の「ビットコイン」と「イーサリアム」でも支払いを受け付けると発表した後、梨形のダイヤモンドは1230万ドル相当で落札された。サザビーズは支払いにどちらの暗号資産が使用されたのかは明らかにしていない。
いくつかの競売会社が、絵画や「NFT(非代替性トークン)」アートなど高額な品物について暗号資産の受け入れを始めている。NFTはブロックチェーン技術に裏打ちされ、デジタルの芸術品や収集物の所有権の譲渡に使われるようになっている。サザビーズのチャールズ・スチュワート最高経営責任者(CEO)は昨年4月、CNNの取材に対し、NFTや暗号通貨はアート市場を拡大させるものだとの見方を示していた。