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ダイヤよりアツい? 無名の宝石が人気上昇中

18カラットのイエローゴールド、トルマリン、アクアマリン、ダイヤモンドをあしらったミンカジュエルのアトランティスリング

18カラットのイエローゴールド、トルマリン、アクアマリン、ダイヤモンドをあしらったミンカジュエルのアトランティスリング/Minka Jewels

(CNN) ウロボロス社の宝石商オリビア・ヤング氏は2016年、赤いスピネルの指輪を7700ドル(約120万円)で販売した。顧客の保険会社は23年、その指輪の補償に3万8400ドルを支払った。専門家によると、これまで見過ごされてきたスピネルの人気と価値は急上昇している。コレクターはいわゆる「ビッグ4」(ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイア)以外のより手頃でニッチな宝石に目を向けており、これらは賢い投資先になる可能性があるという。

スリランカ、ミャンマー、ベトナム、アフガニスタン、タジキスタンのほか、一部のアフリカ諸国で採掘されるスピネルは、鮮やかな青、ピンク、赤からくすんだ灰色、緑、紫まで、さまざまな色がある。18世紀に正しく識別されるまで、赤いスピネルはルビーと呼ばれていた。英国クラウン・ジュエルズの一部である大英帝国王冠の正面に据えられた170カラットのエドワード黒太子のルビーは、実はスピネルだ。オークションハウスのボナムズは15年、50.13カラットのホープ・スピネルを世界記録の122万ドルで販売。これは推定価格の6倍以上で、この石が世間の注目を集めるきっかけとなった。

18カラットのゴールドやアフガントルマリン、ミャンマーペリドットをあしらったウロボロス社の指輪/Ouroboros
18カラットのゴールドやアフガントルマリン、ミャンマーペリドットをあしらったウロボロス社の指輪/Ouroboros

ボナムズのジュエリー部門で共同責任者を務めるジェニファー・トンキン氏はメールで「歴史的にスピネルはそれほど重要ではないと考えられていたため、より手頃な価格だったが、その価値は高まっている」と述べた。トンキン氏は、鑑定家の間で最も求められているスピネルはミャンマー産の「消防車のような真っ赤」なものやホットピンクのもの、タジキスタン産のローズピンクのものだと指摘した。オークションハウスであるクリスティーズの国際ジュエリー部門責任者、ラウール・カダキア氏はピンクと紫のスピネルは「今後も市場価値が上がり続けるはずだ」と同意する。良質のものは1カラットあたり2万5000ドルで取引されているという。同氏はメールで「『ビッグ4』の価格高騰により、買い手はこれまでにない代替品を探さざるを得なくなった」と述べる一方で、スピネルの豊かな色味への評価は目新しい現象ではないと説明する。「結局のところ、スピネルはムガル帝国の支配者たちが好む宝石の一つだったのだ」

倫理の問題

ロンドンを拠点とする宝石商リリー・ガブリエラ氏は、コレクターズエディションの一点物のデザインに、さまざまな色合いのスピネルを取り入れている。ガブリエラ氏はメールで、スピネルの価格が「著しく上昇」しているのは「美しさと希少性の両方」を反映しているためだとし、スピネルは「小規模な事業者から調達されることが多く、他の石に比べて倫理的な懸念が少ない」と補足した。

ジュネーブに拠点を置き、ジェムジュネーブに出展している販売業者であるアブシャールの責任者、シャルル・アブシャール氏は色付き宝石の需要が高まったために良質の石が不足し、価格が高騰していると述べた。「ルビー、サファイア、エメラルドが非常に高価で希少になったため、人々はこれまでもっと手頃だった他の宝石を買い始め、価格が大幅に上昇した」「スピネルとパライバトルマリンは、過去10年間で着実に需要が高まっている」

パライバとイエローダイヤモンドをあしらったボゴシアンのセット/Boghossian
パライバとイエローダイヤモンドをあしらったボゴシアンのセット/Boghossian

かつてはニッチだったパライバトルマリンは、ブラジルのパライバ州にある鉱山で1980年代に初めて発見された(現在は閉山)。微量の銅を含み、発光したようなターコイズ色が特徴だ。専門家らは、ダイヤモンド1万個につきパライバトルマリンは1個しか採掘されないと推定する。同様の色合いのものはマダガスカルでも見つかっているが、ブラジル産のトルマリンはその希少性により価格が高騰している。トンキン氏は、ボナムズでは最高品質のパライバトルマリンは2009年に1カラット当たり4800ドルだったが、22年には7万5000ドルに達したと語った。

宝石店のボゴジアンでマネージング・パートナーを務めるロベルト・ボゴジアン氏は、パライバトルマリンの価格が過去3~5年で2倍になったと話す。その理由は「希少性、美しさ、永続的な魅力」にあるとし、ネオンカラーの輝きを「従来の宝石に代わる新鮮なもの」と表現した。ルガノ・ダイヤモンドの創設者、モティ・ファーダー氏は20年以上前からパライバトルマリンを扱っている。同氏はメールで「パライバトルマリンには申し分のない魅力がある。希少性が非常に高く、とても魅力的だ」と述べた。同氏は、需要が増し供給が減るにつれ、価値が継続的に上昇し、「市場で最も求められ、高く評価される宝石の一つになる」とみている。

パライバトルマリンがすでに高すぎて手が出ない場合はどうしているのだろう。ヤング氏はアフガニスタンからできるだけ多くのトルマリンを買い付けている。アフガニスタンの新しい鉱床では「一方向から見ると青緑色、90度の角度から見ると若草色という非常に美しい二色の石」を採掘できるからだ。同氏はこの石を「今まで見た中で最も優美で鮮やかな宝石」と表現している。

18カラットのローズゴールドとプラチナをあしらったリリー・ガブリエラの「メンフィス・デコ・ピン」/Lily Gabriella
18カラットのローズゴールドとプラチナをあしらったリリー・ガブリエラの「メンフィス・デコ・ピン」/Lily Gabriella

同様に、宝石学者でミンカ・ジュエルズの創設者であるルーシー・クロウザー氏は、15年前にインドで個人的に発見した青緑色のトルマリンを好む。クロウザー氏はメールで「これらの信じられないほど鮮やかできれいな宝石は、本当に私の中の何かを呼び起こした」と説明した。同氏は現在、これまでにない婚約指輪やカラフルなカクテルリング用に最高品質のサンプルを調達している。「人工的に製造されたダイヤモンドの人気が高まっているため、色付きの石は、目立ちたい人や個性的な天然のものを所有したい人たちにとって素晴らしい選択肢になっている」

クロウザー氏とヤング氏は、ビッグ4以外にも宝石はあるということを顧客に伝えると決めている。ヤング氏は「おしなべて最高品質でかなりの大きさがあるトルマリンの価値は急騰すると思う」と話す。「この素晴らしい石の採掘量には限りがあり、並外れて美しいので、人気は爆発するだろう」

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