ロンドン(CNN) 英高級車メーカーのロールスロイスは、ジェームズ・ボンド映画「007/ゴールドフィンガー」の公開60周年を記念して、Qがうらむような特注のガジェットを備えた1台限りの車を製作した。
ロールスロイスの車はこれまでジェームズ・ボンド映画の12作品に登場してきたが、同社によると、この新しいファントム・ゴールドフィンガーは、1964年にショーン・コネリーが主演した映画で重要な役割を果たし、ロールスロイスにとって今なお「永遠のミューズ」であり続ける37年型の「ファントムIIIセダンカ・ド・ヴィル」からインスピレーションを得たものだという。
この新車の所有者にとって(ネタバレ注意、すでに所有者がいる)、すべてがゴールドスタンダードだ。ロールスロイスによると、プロジェクトの完成に3年の歳月を要したという。
イングランド南部の公園で撮影された「ロールスロイス・ファントム・ゴールドフィンガー」/Benedict Campbell/Rolls-Royce
当然ながら、このボンド仕様の車には特注のガジェットが多数備わっており、その多くはもちろん金で装飾されている。
トランク内に据え付けられた金のゴルフクラブは、ゴルフ場でボンドが悪役オーリック・ゴールドフィンガーと初めて出会ったシーンを彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。
映画「ゴールドフィンガー」に出演したハロルド坂田(左)とゲルト・フレーベが37年型の「ファントムIIIセダンカ・ド・ヴィル」の前に立つ様子/Danjaq/Eon/Ua/Kobal/Shutterstock
「ロールスロイス・ファントム・ゴールドフィンガー」のトランクには金メッキのゴルフのパターがあしらわれている/Benedict Campbell/Rolls-Royce
一方、ピクニックテーブルには金塊保管庫のあるフォートノックスの架空の地図が22金インレイで施され、映画の中で重要な舞台となったスイスのフルカ峠の地図を組み込んだスチールと金の立体的なギャラリーも備わっている。
こうした輝くディテールが、映画のオマージュであることは「分かる人には分かる」ようになっており、ロールスロイス・モーター・カーズのビスポークデザイナー、ニック・ローズ氏は、これらを車全体に「イースターエッグ」のように隠し込みたかったと述べている。
007ファンなら、劇中で悪役のオーリック・ゴールドフィンガーがファントム車のドアやボディーパネル内に金塊を隠して運んでいたことは知っているだろう。
「我々は一目で分かる場所に隠された金塊というアイデアが気に入ったので、18金や24金を用いたさまざまなディテールを考案した」とローズ氏はCNNに述べている。
それらは、「銀の表面層がはがれ落ちているように見える金メッキのスピリット・オブ・エクスタシー像や、特別に設計されたセンターコンソール内の金庫に収められたファントムのミニチュア型に加工された18金の金塊」などだ。
センターコンソール内に設置された金庫と18金の金塊/Benedict Campbell/Rolls-Royce
顧客の正体は明かされていないが、「車コレクターであり、ジェームズ・ボンドの熱烈なファン」だとロールスロイスのグローバル・プロダクト・コミュニケーションズ部門の責任者、ジョージナ・コックス氏は説明した。
これらの車はイングランド南部のグッドウッドにて手作業で製作されている。この新車の顧客には、おなじみの黄色と黒のツートンカラーに塗装するために車を送り出すボタンを押す、という栄誉が与えられた。
同様の特注車を手に入れてみたいと思うかもしれない。もちろん安くはないだろうが、ロールスロイスはプロジェクトにかかった費用に関するコメントはしていない。