トランプ氏、議事堂襲撃の1500人に恩赦 極右団体の指導者を減刑
(CNN) トランプ米大統領は20日、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で訴追された1000人あまりに恩赦を与え、極右団体「プラウドボーイズ」や「オースキーパーズ」の指導者については減刑した。
トランプ氏はホワイトハウス執務室で有罪判決や訴追を受けた被告に言及し、「彼らは人質だ」と指摘。「約1500人に恩赦、完全な恩赦を与える」と表明した。
減刑対象となるのは、扇動共謀罪で有罪判決もしくは訴追を受けた「プラウドボーイズ」や「オースキーパーズ」の極右過激主義者14人。
トランプ氏は今回の恩赦により、平和的な政権移行の妨害を図り、警官襲撃や器物損壊といった重罪で有罪判決を受けた数百人に完全な恩赦を与えたことになる。
こうした「完全かつ無条件」の恩赦は、議事堂襲撃当日に犯された最悪の部類の罪で有罪判決を受けた者にも適用される。
その中には米議会警察のブライアン・シックニック氏を襲撃し、後に凶器による警官襲撃の罪を認めたジュリアン・ケーター被告や、金属製の棒で警官を殴ったデブリン・トンプソン被告、消火器や木の板、棒で警官を襲撃したロバート・パーマー被告も含まれる。
7時間に及んだ議事堂襲撃では警官140人あまりが負傷。この襲撃が直接、間接の要因となり、暴動に参加していたトランプ氏の支持者4人と警官5人が死亡した。
司法省の最新の推計によると、議事堂襲撃に関連して軽罪の有罪判決を言い渡された者は730人を超える。さらに、20日の時点でまだ300人の訴追が法廷で係争中で、その中には警官襲撃などの暴力的な重罪に問われている者も含まれる。トランプ氏の大統領令では、こうした訴追を完全に取り下げるよう求めている。
襲撃後、司法省と連邦捜査局(FBI)は全米で暴徒の身元特定と拘束に乗り出し、米国史上最大規模の刑事捜査に発展した。検察は1580人あまりを訴追し、約1270人の有罪を確保した。
司法省のデータによると、議事堂襲撃を巡る訴追の約55%は乱暴行為や不法侵入といった軽罪。有罪判決を受けた者の大半は保護観察か数カ月の禁錮刑を言い渡され、既に釈放されている。