米パイプライン建設反対、グリーンピースの賠償責任認める評決 専門家「言論の自由の敗北」

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パイプライン建設に反対するデモ隊と法執行当局者=2016年10月27日、ノースダコタ州キャノンボール付近/James MacPherson/AP/File

パイプライン建設に反対するデモ隊と法執行当局者=2016年10月27日、ノースダコタ州キャノンボール付近/James MacPherson/AP/File

(CNN) 米ノースダコタ州のパイプライン建設反対運動をめぐって運営会社が環境保護団体のグリーンピースに多額の損害賠償を求めた訴訟で、同州の陪審団は19日、グリーンピースの損害賠償責任を認める評決を言い渡した。

パイプラインを運営するエネルギー・トランスファー・パートナーズ(ETP)は2019年、グリーンピースに対して3億ドル(現在のレートで約445億円)の損害賠償支払いを求めて提訴。グリーンピースが抗議運動を操って偽情報を拡散させ、器物損壊や収益減少を通じて同社に損害を与えたと主張していた。

今回の評決はグリーンピースにとって大打撃だった。同団体はこの訴訟によって米国での活動が破たんに追い込まれかねないと述べており、専門家は言論の自由を萎縮させる恐れがあると指摘している。

弁護士のマーティ・ガーバス氏は「合衆国憲法修正第1条をめぐる米国史上最悪級の判決だ」「この判断は理解しがたい」と話す。

今回の訴訟については、法外な額の損害賠償などを通じて市民の批判を封じ込めようとする悪質なSLAPP訴訟だとする批判もあり、別の専門家のジェームズ・ウィートン氏は「敗訴したのはグリーンピースだが、今回の評決はそれ以上に、言論の自由を保障する憲法修正第1条の敗北、つまり全国民の敗北だ」と批判した。

グリーンピースが控訴するかどうかは不明。

発端となったのは2016年から17年にかけ、先住民居留地近くのパイプライン建設に反対して行われた抗議運動だった。数カ月にわたった抗議運動には先住民団体やNPOなどから数千人が参加していた。

ETPは裁判の中でこの抗議運動について、グリーンピースがパイプライン建設を止める目的で画策したもので、外部から人を雇って抗議運動に参加させたなどと訴えていた。

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