米エヌビディア、新半導体「ブラックウェル・ウルトラ」の詳細を発表
ニューヨーク(CNN) 米エヌビディアは18日、年次開発者会議「GTC」で、人工知能(AI)向けの新たな半導体「ブラックウェル・ウルトラ」の詳細を明らかにした。ブラックウェル・ウルトラはアプリケーションが利用者に代わって推論して行動することを支援するという。推論と行動という二つの能力により、AIはチャットボットの領域を越えて、現実世界の中にさらに入りこんでくることになりそうだ。
ブラックウェル・ウルトラは現在人気の半導体「ブラックウェル」を基にしている。エヌビディアによれば、新たな能力が追加されたブラックウェル・ウルトラは、AIモデルが複雑なクエリを複数の手順に分解し、さまざまな推論を検討することが容易になる。
米オープンAIが2022年に対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を発表して以降、AI向け半導体に対する需要は急増しており、これがエヌビディアの株価の押し上げにつながっている。エヌビディアの半導体は、マイクロソフトやアマゾン、グーグルといった企業が提供する、電力消費の多いAIやクラウドサービスを支えるデータセンターに使われている。
中国の新興企業ディープシークの生成AIモデル「R1」の登場は、その推論能力と安価とされる費用がウォール街に衝撃を与え、高性能なAIモデルの実行に高価なハードウェアは必要ないかもしれないとの臆測を呼んだ。
エヌビディアによれば、前世代の半導体「ホッパー」では1分半かかっていたR1のクエリの回答は、ブラックウェル・ウルトラではわずか10秒で済むという。

AI半導体「ブラックウェル・ウルトラ」はAI推論モデル向けに設計されている/Courtesy Nvidia
シスコやデル、HPなどの企業がブラックウェル・ウルトラをベースにした新しいサーバーの開発に取り組んでいる。ブラックウェル・ウルトラを搭載した最初の製品は2025年後半に登場の予定。
専門家によれば、回答する前に推論したり考えたりできれば、AIアプリなどはより複雑で特殊な種類の質問にも対処できるようになるという。推論能力を備えたチャットボットは、ただ答えを吐き出すのではなく、質問を分析して、さまざまなシナリオを考慮した複数の具体的な回答を提供することができる。