マスク氏のUSAID解体、違憲の「公算大」 連邦地裁が差し止め判断
(CNN) 米政府効率化省(DOGE)を率いる大富豪の実業家イーロン・マスク氏は、行政部門の権限を逸脱しているように見受けられる。メリーランド州の連邦地裁判事が18日にそのような判断を下し、DOGEが進める国際開発局(USAID)解体の阻止に動いた。
連邦地裁のセオドア・チャン判事は、「当裁判所はUSAID閉鎖に向けた被告の一方的な行動について、合衆国憲法に違反する公算が大きいと判断する」と述べた。
チャン氏によれば、DOGEは今後USAIDの契約や助成金を打ち切ることができなくなる。またこれ以上従業員を解雇、休職とする措置もとれなくなる。さらにUSAIDが保持する機微な個人情報をDOGEの職員が外部と共有することも禁じられた。
DOGEに対する仮差し止め命令となる今回の判断は、連邦政府におけるマスク氏の役割に広く異議を唱えるグループにとって大きな勝利を意味する。合衆国憲法を理由に同氏の取り組みを制限した最初の主要な司法判断の一つともなる。
マスク氏とトランプ政権は他にも政府機関の解体や連邦支出の削減に取り組んでおり、そうした措置に対する異議申し立てを受けている。今回の連邦地裁の判断に伴い、他の裁判所でもマスク氏による取り組みの検証に動く可能性がある。
訴訟に携わる団体の幹部は今回の判断について、マスク氏と同氏の率いるDOGEに対する重要な勝利だと指摘。彼らがやっていることはUSAIDや米政府、合衆国憲法への攻撃だとの見方を示した。
連邦地裁の判断を受け、ホワイトハウスは判事を批判。ケリー報道官は声明で「ならず者の判事が米国民の意志を覆し、トランプ氏の課題達成を阻止しようとしている」「仮にこれらの判事が自分たちの党派的なイデオロギーを政府に押しつけたいのであれば、自ら選挙に立候補するべきだ」と主張した。
その上で、トランプ政権は控訴を計画していると付け加えた。
USAIDの解体阻止を目的とした訴訟は、職員や請負業者らによってこれまでも複数起こされているが、18日のチャン連邦判事の事例ほど成功したケースは過去になかった。