米ロ首脳、ウクライナのエネルギー・インフラ攻撃停止で合意 包括停戦には至らず
(CNN) ロシアのプーチン大統領は18日、トランプ米大統領と長時間の電話会談を行った結果、ウクライナのエネルギー施設やインフラを狙った攻撃を一時停止することで合意した。
米ホワイトハウスとロシア大統領府の双方が発表した。ただ、ロシアは3年に及ぶウクライナ紛争の包括的な停戦には同意しなかった。
両首脳の会談はトランプ氏の大統領就任後2度目。トランプ氏が支持し、ウクライナ側も同意している「30日間の停戦」についてプーチン氏の合意を取り付けるには至らなかった模様だ。ホワイトハウスによると、まずはエネルギー施設という狭い範囲で攻撃停止を実施し、その他の分野については技術チームが交渉で解決を図る方針だという。
ホワイトハウスは会談内容の説明で、「両首脳は、和平への動きはエネルギー施設やインフラへの攻撃停止から始まるとの認識で一致した。黒海での海上停戦、完全停戦、恒久和平の実施に関する技術的交渉を始めることでも合意した」と発表。技術的交渉は中東で「直ちに」開始されると明らかにした。
エネルギー施設攻撃を一時停止するだけでは完全な停戦には不十分だが、ロシアが特定の攻撃の停止に同意するのは、2022年のウクライナ侵攻以来初めてとなる。ウクライナ、ロシアとも、こうした攻撃停止の恩恵を受ける可能性がある。
ウクライナの電力網はロシアの侵攻で最大規模の攻撃目標となっており、ウクライナは厳冬期ですら断続的な停電に見舞われる状況が続いている。このため、ウクライナは長距離無人機(ドローン)を使用してロシアの石油施設を狙っていた。
会談内容に関するロシア大統領府の発表によると、トランプ氏は「紛争当事者双方に対し、エネルギーインフラ施設への攻撃を互いに30日間控えるよう提案」した。
これに対し、プーチン氏は「提案に前向きに応じ、直ちにロシア軍にこれを踏まえた指示を出した」という。
ウクライナのゼレンスキー大統領は電話会談の結果公表後、エネルギー施設を狙った攻撃の停止を支持すると表明。「ロシア、ウクライナ双方がエネルギー部門への攻撃をやめることは可能だ。我々はこれを支持する」などと述べた。
ロシア大統領府によると、プーチン氏はより包括的な停戦の要件として、外国によるウクライナ軍事支援停止の必要性を強調したものの、ホワイトハウスの声明ではこの点に言及しなかった。また、米ロ双方とも土地の割譲については触れなかった。トランプ氏は電話会談に先立ち、米国の交渉担当者が「特定資産の分割」について議論していると明かしていた。
約2時間に及んだ今回の重要な電話会談は、米国がロシアとウクライナの間で暫定的な停戦の合意に近づいていると主張する中で行われた。
先月の電話会談以来、おおむねプーチン氏の見解に同調してきたトランプ氏が大統領選の公約である「戦争終結」を実現できるか、トランプ氏の親ロシア姿勢が実を結ぶかどうかを測る重要な試金石ともなった。