エジプト軍、武装集団拠点を空爆 20人殺害
エジプト・アリーシュ(CNN) エジプト軍は8日、シナイ半島北部で軍の検問所が襲撃され16人の兵士が殺害されたことを受け、武装グループに対する掃討作戦を行った。
エジプト軍のシナイ半島北部の防衛責任者であるバクル将軍は、攻撃ヘリで武装グループにロケット弾を打ち込んだ結果、多数の死者が出たと発表した。国営ナイルテレビによれば港湾都市アリーシュでは空爆による死者が少なくとも20人に上ったという。
エジプト軍最高評議会は同日、シナイ半島での空爆作戦は「武装したテロ分子」を標的としたもので、「完全なる成功を収めた」との声明を出した。
軍関係者はCNNの取材に答えて、武装グループはシナイ半島中部のハラル山を拠点としており、ロケット弾や地雷などで武装していると語った。治安部隊はこの拠点を地上から制圧しようと試みたこともあったが失敗。だが7日夜から8日にかけて行われた空爆により、多くの武装グループのメンバーが死亡したという。
イスラエルやパレスチナのガザ地区と国境を接するシナイ半島では、5日と8日にエジプト軍の検問所などが覆面の武装グループに襲撃される事件が発生した。5日の襲撃ではエジプト兵16人が死亡したほか、8日には検問所など6カ所が同時に襲われ治安要員など6人の負傷者が出ている。
エジプトのムルシ新大統領は、反イスラエル色が強いイスラム組織ムスリム同胞団の出身だ。だがエジプト軍に近い人物はCNNに対し、今回の空爆は攻撃ヘリの使用などについてエジプトとイスラエル両国が合意したうえで行われたと語った。
米シンクタンク「ワシントン近東政策研究所」のアナリスト、ロバート・サトロフ氏らも「ムルシ大統領はエジプトの国際合意を尊重すると繰り返し公約してきたが、今回の対応はこれを裏付ける初めての証拠となった」と指摘する。