国連総会、シリア非難決議採択 内戦激化は「重大な懸念」
(CNN) 国連総会は3日、反体制派に対する武力弾圧や虐殺を続けるシリアのアサド政権を強く非難する決議を採択した。決議は、シリアでの内戦激化について「重大な懸念」を示すとともに、危機に対し何ら有効な措置を講じられない安全保障理事会を批判した。
総会は、サウジアラビアが主導で作成した同決議案を賛成133、反対12、棄権31の賛成多数で可決した。ロシア、中国、北朝鮮、イラン、シリアなどが決議に反対し、アルジェリア、インド、パキスタンなどが棄権した。またシリアの周辺諸国では、レバノンが棄権し、イラク、ヨルダン、トルコが賛成した。
決議では、武装した反体制派による人権侵害も指摘されているが、批判の大半はアサド政権に向けられている。
決議は、シリア当局と政府の治安部隊が継続的にシリア国民の人権および基本的自由を大規模かつ組織的に侵害していると強く非難し、具体的な侵害行為として、市民に対する武力行使や大虐殺、恣意的な死刑執行をはじめ、反対派や人権擁護者、ジャーナリストの殺害および迫害、恣意的な拘束、強制失踪、医療への介入、拷問、性的暴力、児童などへの虐待を挙げている。また、シリア当局が化学・生物兵器を使用する恐れに対する重大な懸念も盛り込まれている。
また同決議は、アナン前国連事務総長が提案した6項目からなる調停案の履行に向けた進展が見られないことに強い懸念を示した。アナン氏は国連とアラブ連盟の特使を務めているが、2日に特使辞任を表明した。
総会決議は安保理決議と異なり法的拘束力はないが、今回の決議は、ロシアと中国がシリアに対する制裁決議に反対するなど、意思決定できない安保理を加盟国が強く非難した形だ。