宗教の自由、エジプトや中国などで悪化 米国務省が年次報告
(CNN) 米国務省はこのほど、世界各国の宗教の自由に関する年次報告書をまとめ、エジプトや中国などで状況が悪化しているとの見方を示した。
報告書では、中東の民主化運動「アラブの春」による政変の流れの中で、宗教上の少数派が危険にさらされていると指摘した。
エジプトでは暫定統治を担う軍部が寛容な姿勢を示す裏側で宗派間の緊張が高まり、キリスト教系のコプト教徒らへの暴力が悪化していると批判。コプト教徒中心のデモ隊が治安部隊の攻撃を受け、死者25人、負傷者350人が出た例などを挙げた。さらに、暫定政権はキリスト教徒を狙った暴力や教会への攻撃を阻止できず、実効性のある捜査や訴追もできていないと断じた。
クリントン国務長官は報告書の発表に合わせて国際平和カーネギー基金の集会で演説し、エジプトのムルシ大統領に「全国民の権利を尊重する」との約束を守るよう強く求めた。
長官はまた、「宗教の自由は宗教だけの問題ではない。人々が国家から干渉されず、自由に考え、発言し、仲間と集まる権利の問題だ」「これらはすべての人権と同様、われわれが生まれながらに持つ権利であり、政府にはそれを守る責任がある」と力を込めた。