オランダの「認知症村」に見る介護の最先端
コリーさんは重度の認知症と診断され、24時間態勢の見守りと支援を必要とする。そうした診断を受けることが、ホフヴェイに入居するための条件となる。
夫のテオさんと娘は、介護の負担を背負い切れなくなり、コリーさんを入居させることにした。「妻にとってこれ以上の場所はない。100%素晴らしい」と話すテオさんは、毎日15キロの距離を通ってきて、何時間も一緒に過ごす。
互いに話はできなくても、一緒に座って手をつなぎ、視線を交わす。コリーさんは笑ったり手を握ったりしてくれることもある。自分が暮らしている場所がどこか分かっていなくても、常に安心して過ごせているという。
ホフヴェイ創設者の1人、イボンヌ・ファンアメロンヘンさんはかつて、老人ホームの経営にかかわっていながら、自分の親はそうした施設に入れたくないと思っていたという。
1992年11月、どうすれば老人ホームをもっと快適な生活の場にできるかを同僚と話し合った。
そして2009年に完成した施設は、1.5ヘクタールの敷地に住居棟23棟を配し、それぞれ工芸、文化、宗教、都会暮らしなどライフスタイルに沿った7つのテーマで区切った。