トイレの水も飲用に、世界の水リサイクルプロジェクト
OCWDの担当者は言う。「今ではこうした技術も広く受け入れられるようになった」「水不足が深刻化し、水の供給量が減る中で、代替供給源を見つけなければならないという認識が高まった」
リサイクルの工程では、カリフォルニア州南部で出る1日当たり13億ガロン(約490万立方メートル)の廃水を3段階に分けて処理する。まず廃水から固形物や油分、細菌を除去する精密ろ過の工程。次にプラスチックの膜を透過させてウイルスや化学物質を取り除く逆浸透を経て、最後に残留有機物を除去するために紫外線を照射する。
こうして処理した水は地下水と合わせて厳格な基準に基づく水質検査を経たうえで、各家庭に供給される。OCWDによると、水質は州および国のすべての基準を大きく上回っているという。
リサイクル水の安全性は、世界各地の草分け的プロジェクトでも確立されてきた。水供給が安定しないシンガポールはかつて輸入に頼ってきたが、現在では再生施設の「ニューウォーター」で供給量の30%をまかなう。水質は世界保健機構(WHO)が定める飲料用の基準を満たし、超清浄水を必要とする産業用途に相当量が使われる。