タイで学生拘束、首相演説に映画まねた独裁抗議の指サイン
バンコク(CNN) タイで人権擁護活動に当たる弁護士組織は20日、同国東北部コーンケン県で19日、演説するプラユット首相の面前で、独裁国家との戦いを描いた米人気映画で抵抗のジェスチャーとなっている「3本指」を突き付けた地元の大学生5人が拘束されたと発表した。
戒厳令に違反した罪で訴追される見通し。5人は首相による公務員向けの演説会場で列をつくりながら、「軍のクーデターは不要」の文字が書かれたシャツを着用していたという。
タイ政府の報道官はコメントを求めたCNNの要求に応じていない。
拘束後、軍施設に連行された5人は、政治活動に今後関与しないとの合意事項への署名を拒否。拘束から約8時間後に釈放されたが、戒厳令違反の訴追手続きで後日の出頭を命じられたという。
軍クーデターで実権を握った首相は陸軍司令官当時の今年5月、戒厳令を布告。軍政はこれ以降、公共秩序の回復を名目にメディア規制、外出禁止や公の場での集会禁止などの措置を打ち出している。
ただ、軍政批判派の活動は消えておらず、ツイッターで流行するポップ文化を取り入れた抗議などが続いている。
3本指の抵抗サインは、独裁国家が仕掛ける殺人ゲームを描いた米映画「ハンガー・ゲーム」で10代少女の主人公が突き付ける表現となっている。女優ジェニファー・ローレンスさんが主役を演じた映画は、スーザン・コリンズ作の小説が土台となっている。
同映画のシリーズ3本目となる新作はタイ内で20日に公開予定。ただ、首都バンコク中心部にある1カ所の映画館は民主派の学生グループがチケットを買い、館内で集会を予定しているとして全ての上映を中止したという。