イエメンのアルカイダ系勢力、ISISを痛烈批判
(CNN) イエメンに拠点を置くアルカイダ系テロ組織「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)は21日に公開した映像の中で、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)を痛烈に批判した。またAQAPは、ISISの最高指導者アブバクル・バグダディ師が、自分が「カリフ」(イスラム共同体の指導者)だと宣言したことについて、正当性を欠くと主張した。
AQAPの最高指導者の1人、ハリス・ビン・ガジ・アルナダリ師が読み上げたこの声明は、1週間前にエジプトとリビアのイスラム組織がISISに参加し、世界的な聖戦運動の主導権を握ろうとするISISにとって大きな打撃となる。
ISISは今年、パキスタンのアルカイダ最高指導部と対立し、シリアでもアルカイダとISISの兵士が戦闘を続けている。しかしAQAPはこれまで中立的立場を維持し、両者に和解を求めてきた。
しかしバグダディ師が先週、音声の声明の中で、同師率いるイスラム国が、AQAPの拠点であるイエメンや他の中東諸国にも勢力を拡大したと宣言し、さらにAQAPが独立した聖戦組織として存続できるか疑問を呈したため、AQAP指導部が反発する形となった。
AQAPのナダリ師は、「われわれは、現在の(アルカイダとISISの)対立やシリアでの戦闘について語りたくなかった。しかし、イスラム国の同志らがカリフ制を発表し、この制度を自分たちが統治していない多くの地域にも拡大すると宣言してイスラム国の領土とみなしたことなどには驚いた」と述べた。
またナダリ師はカリフ制の発表について、他の聖戦組織が事前に相談を受けていなかったと指摘。「イスラム国の同志が全イスラム教徒に向けて行ったカリフ制の発表は必要な条件を満たしていなかった」と述べた。