サウジ、「神への侮辱」で詩人に死刑判決 世界から非難の声
(CNN) サウジアラビア南西部アブハーで詩人のアシュラフ・ファヤド氏(35)が作品中で神を冒涜(ぼうとく)したなどとして死刑を言い渡された問題で、世界各地の作家らや人権団体から判決に対する非難の声が上がっている。
ファヤド氏はサウジ生まれのパレスチナ人。法廷文書を閲覧した国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)によると、イスラム教の神や預言者ムハンマド、聖典コーランを侮辱し、無神論を広めた罪で死刑判決を受けた。
HRWによれば、同氏は2013年、アブハー市内の喫茶店で男性と口論になったことをきっかけに逮捕された。裁判では当初、本人が反省していることなどを理由に死刑の求刑が却下され、異性と不適切な関係を持った罪で禁錮4年、むち打ち800回の判決が言い渡された。同氏の携帯電話から、数人の女性とともに写った画像が見つかったためとされる。
これを受けて検察側が上訴し、改めて死刑を求刑。今月半ばに新たな判事が、「反省は不十分」として死刑判決を下した。HRWによると同氏は30日以内に上告することができる。
判決に対して、世界各国の文筆家でつくる国際ペンクラブは「思想を持つこと、平和的に意見を述べることは犯罪ではない」との公開書簡を出し、英詩人キャロル・アン・ダフィ氏やシリアの詩人アドニス氏らが署名した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはインターネット上に、ファヤド氏の即時釈放を求める請願書を掲載。すでに2万2000人以上の署名が集まっている。
サウジの司法制度をめぐっては、斬首やはりつけ、むち打ちなど、残酷な刑罰に非難が集中している。昨年はブロガーがイスラム教を侮辱した罪で禁錮10年、むち打ち1000回の刑を言い渡された。