ISIS最高指導者、複数の潜伏先を転々か 米当局者ら分析
バグダディ容疑者のラッカ潜伏説は決して排除されたわけではない。しかし最近は移動説が盛んに議論されていると、当局者らは指摘する。
バグダディ容疑者がこの半年間に少なくとも2回、イラク北部モスルを訪れていたとする信頼性の高い情報もあるという。情報が遅れて米軍による空爆や拘束作戦には間に合わなかったようだが、これも移動説の根拠のひとつとなっている。
移動説が浮上している背景には、これまでの作戦でISIS幹部らの構成が明らかになり、そのうち何人かを殺害したにもかかわらず、バグダディ容疑者の所在を示す直接的な情報は一切出てきていないという事実がある。
例えば3月には、ISISの「財務相」役にあった人物と最高位の司令官が米軍の空爆で死亡した。2人ともバグダディ容疑者と連絡を取っていたはずだが、同容疑者に関する手掛かりは見つかっていない。
バグダディ容疑者は2年前、イスラム教の断食月(ラマダン)にモスルのモスク(イスラム教礼拝所)で説教する姿が確認された。米当局は、6日から始まった今年の断食月でも同容疑者が公の場に現れる可能性があるとみて、監視の目を強めているという。