プーチン大統領、「平手打ち法」に署名 DVの罰則軽減へ
モスクワ(CNN) ロシア国営タス通信によると、プーチン大統領は8日までに、家庭内暴力(DV)の一部について罰則を軽減する法改正案に署名した。
「平手打ち法」と呼ばれるこの法改正は、DVの最初の一撃を対象に、被害者が重傷を負わない限りは従来のような刑事罰を科さず、行政罰を適用するという内容。
初犯では罰金3万ルーブル(約5万7000円)か最長15日間の禁錮または最大120時間の社会奉仕活動、再犯の場合は罰金4万ルーブルか最長3カ月の禁錮または最長6カ月間の社会奉仕活動が言い渡される。
法改正には、伝統的な家族制度を重んじる保守派の意見が反映されている。ロシア議会では先月、85%以上の賛成で可決されていた。
法改正案を起草した保守派のミズリナ上院議員らは、昨年夏に軽微な暴力犯罪の罰則を軽減した法改正が、DVにも適用されるにすぎないと主張した。
DVをめぐる法改正の議論では、厳しい行動規範や家長への絶対服従を説くロシア古来の「ドモストロイ(家庭訓)」も持ち出された。
法改正を支持した議員はCNNとのインタビューで、「DVはリベラルなメディアが作り出した構図にすぎない」と話した。
これに対して人権団体からは、「ロシア社会では被害者の女性が声を上げにくく、通報されない犯罪が非常に多い」「DVはエスカレートするので軽傷と重傷を区別するのは危険」と懸念する声が上がっている。