最前線の兵士、戦意の源は ISISとその敵対勢力に聞く
アトラン氏によると、調査チームは戦闘員らの回答を、戦闘で負傷した頻度や最前線にいた期間といった客観的要因と照合しながら検証したという。
次にオンラインによる調査並びに心理学実験を計14回実施した。その際、スペインのすべての地域(アフリカ大陸北部にある飛地領セウタ、メリリャを含む)の非戦闘員6649人が、多大な犠牲を払う意志を示した。
「スペインを選んだのは、同国がこれまでアルカイダやISISの標的とされてきたさまざまな理由からだ」とアトラン氏は語る。
最前線で戦う兵士であれ非戦闘員であれ、調査への協力者全般について明らかになったのは以下の点だ。すなわち戦闘や犠牲をいとわない気持ちには、精神的な強さにおいて自分たちが敵を上回っているかどうかが関係してくる。物理的な強さの比較と結び付くものではないということだ。
「つまり、聖なる価値と精神的な強さこそが、ISISの戦闘員やISISと最も首尾よく戦っている兵士らにとって、非常に重要な原動力になっている」(アトラン氏)
「では万が一、価値と組織が離れてしまったらどうするか。仲間と価値のどちらを選ぶのか。この点、最も献身的な兵士、つまり犠牲をいとわない気持ちが最も強い者は組織(や仲間)の犠牲をいとわない」とアトラン氏は述べ、「組織だけでなく家族を犠牲にすることもいとわない」と付け加えた。
この調査結果を見る限り、紛争時には敵の戦う意志を予測することが極めて重要となる可能性がある。