妊婦含む移民40人乗せた船、2週間立ち往生 4カ国が入港拒否
(CNN) 妊婦2人を含む移民40人を乗せた船が2週間にわたり地中海で立ち往生している。マルタ、フランス、イタリア、チュニジアの4カ国が入港を拒んだ。
立ち往生しているのはチュニジア船籍の洋上補給船「サロスト5」。副船長によれば、現在はチュニジア南東部ザルジスの沖合3キロの海域にいるという。移民40人は今月13日、木製ボートでリビアを出発して地中海を渡ろうと試みていたところを救出された。
地中海で救出された移民への対応をめぐっては、周辺国が受け入れを拒否するなどして、外交的な行き詰まりに発展する例がこのところ相次いでいる。
船の様子/Ayman Ourari
副船長はCNNの取材に、サロストが海上にとどまることを余儀なくされれば、船内の人々に「重大な事態」が起きると予想されると説明。持ち合わせの食料は「約3~4日分」だとしている。
25日には赤新月社が同船を訪問したと明かし、現在の状況は「健康上の危機」だとも述べた。
赤新月社のチュニジア・メドニン地域部門長はCNNの取材に、「グローバルな規模で協議を行う必要がある」と述べ、政治解決を呼びかけた。
国際赤十字赤新月社連盟の広報担当によれば、同組織の医師が今週船上にたどり着き、健康状態の悪い人に対する支援や、食料や水の提供に当たったという。
船の様子/Ayman Ourari
船内からの画像には、人々が甲板の上でプラスチックのシートで作ったベッドに寝ている様子が写っている。
副船長が提供した動画では、ギニア出身の23歳の男性が支援を要請。別の動画では、28歳の男性がリビアの刑務所の過酷な状況を証言した。
マルタは19日の声明で、船を違法な形でチュニジア領海に向かわせたとの報道を否定。現行の協定では最も近い安全な場所での降船を定めているとし、今回の場合、チュニジアが安全地域の要件を満たす最も近い場所だったと主張した。