イエメン内戦、国民の半数に飢餓の危機 避けられたはずの悪循環
(CNN) 空腹は飢えに変わり、飢餓に陥ろうとしている。情勢の悪化が経済危機を招き、壊滅的状況につながった。反政府勢力との衝突は内戦となり、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が絡む地域的紛争へと発展している。
この10年の間にイエメンの状況は悪循環に陥った。だがこれは予想でき、防ぐことのできたはずの悪循環だった。「フリーフォール状態」(ノルウェー難民評議会)の同国では、既に800万人が飢餓の瀬戸際にいる。国連当局者によると、内戦を停止させなければ、この数はすぐにも、イエメンの人口の半数に当たる1200万人に膨れ上がる恐れがある。
イエメンの子どもはおよそ50万人が慢性的な栄養不良状態にあり、このまま衝突が続けば数カ月以内にその多くが死亡しかねない。コレラ(10月だけで1万3000人の症例が報告された)などの疾患も全土を覆っている。
アラブの最貧国、そして今では世界最貧国となったイエメンが、なぜこのような状況に陥ったのか。近年で世界最悪の飢餓に瀕している事態を、どうすれば緩和あるいは好転させることができるのか。
イエメンでは2011年のアラブの春が発端となって衝突が激化し、反政府武装組織「フーシ」が2014年9月に首都サヌアを制圧。イランがフーシを利用して影響力を強めることを警戒し、サウジアラビアとUAEが15年3月から、サヌアなどに対する空爆を開始した。
この空爆によってインフラは破壊され、何万人もの民間人が標的にされた。世界平和研究機関の調査によると、この空爆の狙いは、フーシが支配する地域の食料生産および供給網を破壊することによって、相手を降伏させることにあった。
サヌアを追われた政府は南部の港湾都市アデンを拠点として2016年に中央銀行を同地へ移転させ、政府機関の職員数十万人への賃金支払いを停止した。対象とされた職員は突如として貧困に陥り、大量の紙幣発行によるインフレが窮状をさらに悪化させた。