バチカン、第2次大戦時の秘密文書公開へ ピウス12世の検証進むか
ローマ(CNN) ローマ法王フランシスコは4日、バチカン秘密文書館に保管されている第2次世界大戦時の文書を来年公開すると発表した。当時の法王ピウス12世について検証が進むことになりそうだ。
公開される文書は1939~58年のもので、書簡や電信、演説の原稿など数十万点が含まれている。ピウス12世を巡っては、ドイツとイタリアにおけるファシズムの台頭に表だって対抗する姿勢が不十分だったとの批判が出る一方、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)からユダヤ人を救うため水面下で精力的に活動していたと擁護する声もある。
フランシスコ法王は発表に当たり、ピウス12世に対する批判には偏見や誇張が混じっていたと指摘。「真剣かつ客観的な歴史調査により正しい評価に至ると確信している」と述べた。
文書公開は側近の助言を聞いて決断したとし、「教会は歴史を恐れていない。むしろ愛している」と強調した。
管理責任者のセルジオ・パガーノ氏によると、ピウス12世の時代の文書は秘密文書館以外にも、バチカン国務省や教理省などの組織に保管されている。いずれの組織も来年3月2日から資格を持った研究者向けに公開を開始する方針。
文書の整理には20人の専従スタッフが12年以上をかけて取り組んだという。
バチカンの発表を受け、ユダヤ人団体は直ちに歓迎の声明を発表。米ユダヤ人協会のデビッド・ローゼン諸宗対話部長は、「カトリック教会とユダヤ教の関係にとって大きな重要性を持つ決断だ」と意義を強調した。