ローマ法王、未成年者虐待の聖職者に出頭要求
ローマ(CNN) ローマ法王フランシスコは21日朝、バチカンで演説を行い、未成年者を虐待する聖職者に対し、司法当局に出頭して「神の裁き」に備えるよう促した。カトリック教会を揺るがす性的虐待問題について、かつてなく強い言葉で言及した形だ。
法王はまた、メディアが性的虐待問題を明るみに出し、被害者に声を上げる勇気を与えたことに謝意を表明。「プロのメディア関係者は誠実かつ客観的で、虐待犯を突き止めたり、被害者の声を伝えたりしようと努めてきた」と述べた。
さらに「教会は人々に沈黙してしまわないように願う。この件でより大きな問題なのは、真実を覆い隠してしまうことだからだ」と語った。
法王に対しては、性的虐待問題で断固たる対応を取るよう求める声が強まっている。今年は虐待と隠蔽(いんぺい)が相次いで発覚し、法王の威信が問われる1年となった。
チリでは5月、同国で性的虐待問題が浮上したことを受け、司教全員が辞任を申し出た。法王は自身も「問題の一端」だと認めていた。
8月には、米ペンシルベニア州の大陪審が、聖職者300人余りによる性的虐待についてまとめた報告書を発表。1947年以降に子ども1000人以上が被害に遭ったことを明らかにしていた。
バチカンでは来年2月、世界各地の司教が集まり、性的虐待について初めて話し合う予定。
法王は今回の演説で「教会は来る2月、惜しみなく浄化の道を歩む固い決意を改めて表明する」と言及。過去に問題があったことは認めつつ、教会は「いかなる問題であっても、隠蔽したり真剣に扱わなかったりすることはない」と誓った。