米神父の性的虐待、バチカンが報告書に初言及 「犯罪的」
(CNN) ローマ法王庁(バチカン)は16日、米ペンシルベニア州の聖職者による長年の性的虐待や隠ぺい工作について詳述した大陪審の報告書に触れ、「犯罪的であり道徳的な非難に値する」との談話を発表した。バチカンがこの報告書に言及するのは初めて。
バチカンのグレッグ・バーク報道官はこの中で、ペンシルベニア州の報告書に関して「こうした恐ろしい犯罪を目の当たりにした時の感情を表現できる言葉は二つ、恥と悲しみだ」と述べた。
さらに、バチカンは大陪審の調査や報告書を「極めて深刻に受け止めている」と強調。未成年者への性的虐待を「明確に非難する」とした。
カトリック教会が絡む性的虐待問題はオーストラリアや南米など複数の大陸に広がっており、フランシスコ法王に対しては今週、こうした危機に対応するよう求める声が強まっていた。
今回の危機はフランシスコ法王にとって試練となりそうだ。法王はこれまで、聖職者の間で広がる性的虐待への対応に苦慮する場面もみせてきた。一部のカトリック教徒の間では、法王が決然とした行動に出ない場合、その道徳的権威が損なわれかねないと懸念する声も出ている。
バチカンが談話を出したのは、ペンシルベニア州の報告書の発表から48時間後。法王自身はまだ報告書の内容に言及していない。
米国では、リベラルと保守両派のカトリック教徒が珍しく団結し、法王に対して報告書に反応するよう求めている。
報告書はペンシルベニア州内の6教区の内部文書に基づいてまとめられたもので、神父300人以上が1000人を超える子どもに性的虐待を加えていた疑いが強いとしている。