原爆の「黒い雨」、指定区域外も被爆者認定 広島地裁で判決
(CNN) 広島地裁は29日、75年前の原爆投下直後に放射性物質を含んだ「黒い雨」を浴びた84人に対し、全員を被爆者と認定し、他の被爆者と同様に医療給付を受けられるように命じる判決を下した。
84人は放射能が原因とみられる健康被害を訴えていたが、黒い雨を浴びたのが国の指定した援護区域の外だったとして、これまで医療給付などの救済対象に含まれていなかった。
米国は第2次世界大戦中の1945年8月6日、広島に原爆を投下。7万人以上がその場で死亡したとされる。3日後には長崎でも原爆を使用し、さらに4万人の犠牲者を出した。
原爆投下直後の惨禍を生き延びた人々も、やけどや放射能に関連する疾病のために数万人が死亡した。被爆地一帯には放射性物質を含んだ黒い雨が降り注ぎ、人々の肌や衣服にしみこんだほか、食料や水を汚染した。
判決では広島市と広島県に対し、原告を被爆者と認定したうえで被爆者健康手帳を交付するよう命じた。
判決を受け菅官房長官は、政府として控訴するかどうかは未定としたうえで「今後の対応については、関係省庁、広島県、および広島市において判決の内容を十分精査したうえで検討していく」と述べた。