北朝鮮ハッカー、ファイザーにサイバー攻撃か ワクチン情報盗んだと韓国国会議員
韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮の複数のハッカーが、新型コロナウイルスのワクチンと治療に関連する技術を米製薬大手のファイザーから盗み出したとの見方が浮上した。韓国の国会議員が諜報(ちょうほう)機関からの情報として明らかにした。
韓国国会議員の河泰慶(ハテギョン)氏は16日、北朝鮮による当該のハッキングについて他の議員とともに国家情報院(NIS)から説明を受けたと述べた。
ハッカー攻撃がいつ行われたのかは不明。NISはコメントを控えた。北朝鮮政府はデータを盗み出したとする疑惑について公に認めていないが、同国の外交官はたいてい、いかなる不法行為の疑いも否定する。
ファイザーは16日、本件についてコメントは出さないとした。同社が独同業ビオンテックと共同開発したワクチンは、世界保健機関(WHO)が緊急使用を認めた初のワクチンとなった。
新型コロナに絡む北朝鮮のサイバー犯罪が取りざたされるのはこれが初めてではない。米マイクロソフトは昨年11月、北朝鮮が複数のワクチンメーカーを標的にサイバー攻撃を行ったと発表。中には「WHOの代表者になりすましてシステムにアクセスする」ケースもあったという。
マイクロソフトは当時の声明で、こうした攻撃の大半はブロックされたと説明した。
ロイター通信はこの時のサイバー攻撃について、新型コロナワクチンの開発に携わる英製薬大手アストラゼネカを標的にしていたと報じた。人材採用担当者を装って同社の職員に接触し、虚偽の仕事の提供などを行ったという。
今回ファイザーから盗み出したとされるデータが具体的にどのようなものなのか、それによって北朝鮮の科学者らに何ができるのかは分かっていない。北朝鮮は昨年7月、国産の新型コロナワクチン開発を目指すと発表したが、同国政府が目標に見合う科学的な資源や財政力を有していると考える人はほとんどいない。自前でのワクチン開発を遂行するためには巨額の資金が必要になる。
米ハーバード大学メディカルスクールで韓国健康政策プロジェクトを統括するキー・B・パーク博士は、北朝鮮がワクチンの確保に向けて「包括的なアプローチを取っている」と指摘。「あらゆることを試している。自国での製造のほか、途上国へのワクチン普及を推進する国際組織『Gaviワクチンアライアンス』を通じた供給を目指すかもしれない。特定の国との2国間ルートを活用して入手する可能性もある」と分析した。