バイデン米大統領、就任後初の対話集会 全国民へのワクチン「7月末までに」
(CNN) バイデン米大統領は16日、就任後初となる一般市民との対話集会に臨んだ。冒頭で新型コロナウイルスワクチンについて、7月末までには全国民に接種できる量を確保すると明言した。
対話集会は中西部ウィスコンシン州の最大都市ミルウォーキーで開催された。CNNアンカーのアンダーソン・クーパー氏と、客席に間を置いて座った市民からの質問に、バイデン氏が答える形式で進められた。
バイデン氏はワクチンの供給量について、7月末までに6億回分以上という具体的な目標を示した。これは米国内の希望者全員に接種できる量だ。その手前の5月末までには、4億回分を調達するとも述べた。
同氏はさらに、今年のクリスマスまでに国民の生活がほぼ通常の状態に戻るだろうと語った。
先月の時点では、春までに希望者全員へのワクチン接種を目指すとしていた。目標の期限が先へ延びた理由としては、トランプ前政権がウイルス対策で「多くの時間を無駄にした」ことを挙げた。
学校の再開をめぐっては、就学前の5歳児クラスから8年生(中学2年生に相当)までがほぼ全員、教室へ戻れるとの見通しを示した。
バイデン氏はもともと、就任後100日以内に学校を再開させると約束していた。しかしホワイトハウスが最近、週1回の登校でも再開に当たるとの立場を示し、保護者らから「言い逃れだ」と批判を受けていた。同氏は集会で行き違いがあったことを認め、児童・生徒の多くが週5回登校することになると言明した。
同氏は集会を通して市民に寄り添う姿勢を前面に出し、トランプ氏との違いを際立たせた。1人の母親から、8歳の娘が新型ウイルスにかかって死ぬことを怖がっているとの訴えがあった時は、この少女に直接「怖がらないで」と語り掛け、子どもが感染したり、人にうつしたりすることはめったにないと説明していた。
トランプ氏の名前を口にすることは極力避ける様子がみられた。同氏の弾劾(だんがい)裁判などについて問われ、「ドナルド・トランプ氏の話をするのはうんざりだ」と答える場面もあった。「この4年間、ニュースはトランプ氏のことばかりだった。これからの4年間は米国民のニュースばかりになることを願う」との発言には、客席から拍手が上がった。
最近の研究では与野党間の深い分断が相次いで指摘されているが、バイデン氏は「国家が分断されてはいない」と語り、「両端に極端な集団がいる」にすぎないと主張した。
ただ実際には、共和党議員や支持者らがトランプ派の立場を簡単に放棄することはないとみられる。米キニピアック大学がこの日に発表した世論調査の結果では、共和党支持者の75%が、トランプ氏に今後も党内で表立った役割を果たしてほしいと答えていた。
集会ではバイデン氏の話の長さも目立った。人種差別と警察の問題や対中政策に関する質問への回答は特に長引いた。長くなることを謝りながらも、話を延々と続ける姿が印象に残った。